アンテロープキャリアコンサルティング・小倉基弘代表取締役が語る「日本経済を支える「黒子」PEファンドの将来性」
財界オンライン / 2024年5月22日 11時30分
当社は2002年創業の投資銀行やアセットマネジメントなどの金融業界、及びコンサルティング業界に特化したプロフェッショナル人材紹介会社です。
その中で現在、我々が注目している職種が「プライベートエクイティ・ファンド」(PEファンド)です。当社は創業以来、PEファンドとお付き合いをしてきましたが、当時は日本の多くの方々がPEファンドのビジネスをご存知でなかったこともあり「ハゲタカ」といったネガティブイメージで語られることが多くありました。
しかしその後、大企業の再生、後継者難で悩む中堅・中小企業の買収と事業承継、成長企業へのグロース投資、MBO(経営者による買収)による非公開化支援など、PEファンドが「黒子」として活躍する中で、徐々にイメージもよくなってきているのではないかと思います。
日本経済全体にとっても、存続すべき企業が存続できる、企業が成長機会を捉えることができるという形で貢献されています。ですから今は企業にとっての「伴走者」というイメージになっているのではないかと感じています。
近年の大型の非上場化案件などではPEファンドが活躍し、新聞紙上でも名前が出るようになっていますから、目にされる方も増えているのではないでしょうか。
また、現在上場企業でPBR(株価純資産倍率)が1倍を割れている企業は、その改善に取り組んでいます。その過程で、資本効率を高めるために本業にシナジーのない事業をカーブアウト(事業の切り出し)してきていますが、ここでも支援しているのはPEファンドです。
米国のGDP(国内総生産)に占めるPEファンドの比率は日本の10倍ほどありますが、私は日本のPEマーケットがここから10倍になってもおかしくないと思っています。
かつて日本の大学卒業者の最優秀層は現在の財務省や経済産業省、メガバンクなどを志向してきましたが、今は戦略系コンサルティングファームや投資銀行への志望者が増えています。PEファンドは、それらの業界を経験した方々が、さらにスキルアップをする、「次に目指す」職場となってきています。
例えば、投資銀行ではM&A(企業の合併・買収)のスキル、コンサルではマネジメントのスキルが身に付きますが、PEファンドはその両方がないとできない仕事だからです。
また、メガバンクや総合商社の仕事に社員として貢献するのと、PEファンドでメイン株主の一員として、その企業の成長に貢献するというのは、立場的にかなり違います。
もちろん、PEファンドといっても各社、それぞれに色があります。外資系か日系か、ファンドの規模によって投資先の規模も変わります。
仕事のやり方も「ハンズオン」で、PEファンドのメンバーが投資先企業に入り込んで、中には営業も一緒にやるといった形もあれば、規模の大きい企業であれば経営者を外部から招聘し、その経営のモニタリングをするという形など様々です。
PEファンドを経験された後、そのスキルを生かして企業経営に携わる方も徐々に増えてきていますが、今後さらに増えてくるものと思います。
我々は『コンサルが「次に目指す」PEファンドの世界』(クロスメディア・パブリッシング)を発刊しましたが、この業界のさらなる発展、若い世代の職業選択の一助となればという思いを持っています。
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