西武HDが旧〝赤プリ〟跡地を売却へ 資産過大の〝持つ〟経営からの転換へ
財界オンライン / 2024年5月30日 18時0分
売却資金は今後の再開発に
「保有型から回転型の不動産ビジネスに転換する。資金はリゾートや都心の再開発に回す」─。西武ホールディングス(HD)社長の西山隆一郎氏は語る。「赤プリ」の愛称で親しまれた旧グランドプリンスホテル赤坂跡地に建設した複合施設「東京ガーデンテラス紀尾井町」を24年度中に売却すると発表した。売却相手は今後詰める。
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同社は鉄道会社だが、2024年3月期の売上高では鉄道やバスなどの都市交通・沿線事業が全体の約3割で、ホテル・レジャー事業が4割超と最も多い。また、不動産事業は15%だ。しかし、営業利益では都市交通・沿線事業が132億円、ホテル・レジャー事業が194億円、不動産事業が127億円と同事業の収益力の高さが窺える。
だがコロナ禍でそれまでの稼ぎ頭だった「プリンスホテル」などが大きな赤字を出し、資産を持つことによるリスクが見えてきた。そこで同社のとった選択が不動産の所有と運営を切り離し、運営受託に特化する戦略だ。加えて、品川などで進める大型再開発に資金を充てる。
既に76物件あったプリンスホテルやスキー場などのうち31物件を総額1500億円でシンガポール政府系の投資ファンドのGICに売却。さらに売却の対象を広げて、東京・池袋の本社ビルや既存のホテル、西武鉄道沿線のマンションなど、グループが所有する全物件が対象になるとした。東京ガーデンテラス紀尾井町の売却額は未定だが、グループの不動産の中で最大規模となる見込みだ。
西山氏は「当社には高輪・品川などの都心一等地から軽井沢や箱根、富良野といったリゾート地など全国に約1億平方メートルに上る資産がある」とも語っており、今後の成長を見込んでいる。ただ、西武グループの「台所事情も影響している」(アナリスト)との指摘もある。
売り上げ規模が4000億円と近い小田急電鉄や京王電鉄の有利子負債は、それぞれ5820億円、4380億円だが、西武HDは約7500億円。コロナを教訓に資産を持つ経営から高収益経営への体質転換を進める考えだ。
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