冨山和彦の「わたしの一冊」『美術の物語』
財界オンライン / 2024年6月1日 11時30分
美術という学び多きエンターテインメントの世界へ誘う
美術を学ぶ人々、美術鑑賞愛好家の間では鉄板の必携本である。古代から現代に至るまでの美術史の本とも言えるし、歴史書の形態を借りた美術教養本とも言える。600ページを超える大著だが、豊富な美しい写真と分かりやすくストーリー性豊かな説明によって、読みだすとなかなか止まらない、魅力的な一冊である。
本書によって、私たちが博物館や美術館で目にする様々な作品や観光で訪れる遺跡遺構の見方が豊かになることは間違いない。仕事の合間、コーヒーを片手に本書を開けることで、たちどころに美の世界の物語の中に身を置くこともできる。そして疲れた頭と心を癒しリラックスさせてくれる。ちょっと高価だが、実にお買い得な本なのだ。
自分は中高生時代、身の程をわきまえずに美術の世界で生きていくことにあこがれた時期があり、本書を知る機会を得た。最近、改めて最新刊を手に入れ、いつも机のわきに置いている。所詮、素人なので専門家ぶってうんちくを語る趣味もないし、芸術系は全て自分の「好き、嫌い」だけで鑑賞することにしている。その点、本書は専門書にありがちなうんちく知識を振りまわす押し付けがましさがないところもいい。
美術は人類が積み上げてきた大いなる遺産の一つであり、それは過去から現代へ、現代から未来へつながって行く。本書の著者が、歴史の流れに沿って自然に美術を語っていることが示唆するように、美術は人間自身、社会自身の姿見であり、見方を変えればそれ自体が歴史書であり、良質な歴史エンターテイメントなのである。「賢者は歴史から学ぶ」と言う言葉があるが、美しいものを楽しみながら人として経営者として何かを学べるならこんなお得なことはない。加えてこの楽しみは終生続くはずだ。
日頃、多くのストレス、目前の問題に忙殺されている経営者の皆さんを、美術という学び多きエンターテインメントの世界へ誘う格好の一冊である。
【著者に聞く】『諫言を容れる 経営のリーダーシップ』公益財団法人 産業雇用安定センター会長・矢野弘典
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
【光村推古書院】美しいビジュアルと、古典文学・歴史学・考古学、それぞれの分野からの考察で紫式部の生きざまに迫る『史実でたどる紫式部 ――「源氏物語」は、こうして生まれた。』を7月20日(土)に発売。
PR TIMES / 2024年7月18日 13時40分
-
ビジネススキルより先に「地頭力」を鍛えよ...仕事も日常も豊かにする「知恵」がつまった16冊を紹介
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月9日 17時34分
-
2024年3月、72歳で逝去した彫刻家・舟越桂。「彫刻の詩人」舟越桂が思い語り合った、言葉と時間が宿る森へいざなう、貴重な1冊が発売されました。
PR TIMES / 2024年7月1日 20時45分
-
いま「貯金はNG」なワケ...資産運用や仕事に効く「イチオシのビジネス書」を一挙紹介
ニューズウィーク日本版 / 2024年6月26日 17時27分
-
世界No.1レストラン ノーマ(Noma)シェフのレネ・レゼピ氏推薦!!『美食の教養』 6月26日発売!
PR TIMES / 2024年6月26日 11時45分
ランキング
-
1イタリア人が営む「老舗ラーメン店」の人生ドラマ 西武柳沢「一八亭」ジャンニさんと愛妻のこれまで
東洋経済オンライン / 2024年7月22日 11時30分
-
2なぜユニクロは「着なくなった服」を集めるのか…「服屋として何ができるのか」柳井正氏がたどり着いた答え
プレジデントオンライン / 2024年7月22日 9時15分
-
3円安は終わり?円高反転4つの理由。どうなる日経平均?
トウシル / 2024年7月22日 8時0分
-
4ウィンドウズ障害、影響続き世界全体で2600便欠航…損害は1600億円を超えるとの見方も
読売新聞 / 2024年7月22日 11時16分
-
5日本企業が「20年で世界から没落した」2大理由 日本企業の「現場」で"何が"起こっていたのか
東洋経済オンライン / 2024年7月22日 9時40分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください