【経済産業省】2040年の経済見通し「投資拡大継続で所得増」?
財界オンライン / 2024年5月29日 13時0分
経済産業省は4月に開いた経済産業政策の方向性を議論する有識者会議で、2040年ごろの国内経済の将来見通しなどを盛り込んだ第3次中間整理案を示した。企業による国内投資の拡大やイノベーションが継続することで、40年ごろには所得や個人が自由に使える「可処分時間」が増加し、「豊かな社会を実現できる」とのシナリオを明記した。将来見通しを示すことで、企業の予見可能性を高め、投資促進などにつなげてもらう狙いだ。
中間整理案では、現在の日本経済の状況について、30年ぶりに国内の民間設備投資が100兆円規模となるなど「潮目の変化」が起きており、投資や賃金、物価が伸びる「千載一遇のチャンス」にあると指摘。一方で、30年根付いた将来に対する悲観は簡単に払拭できないとした上で、「気を緩めてチャンスを逃して、元の木阿弥とならぬようここからが正念場だ」と強調した。
将来見通しでは、従来の企業経営である生産拠点を海外に移して国内投資を控えるといった取り組みなどを続けた場合の40年ごろの見通しも提示。実質賃金や国内総生産(GDP)は横ばいとなり、「新興国に追いつかれ、海外と比べて豊かではない状況に陥る」と分析。
こうした停滞を避けるためには、企業による国内投資の拡大や賃上げの継続が必要であるとし、政府については「一歩前に出て、予算や税制、規制改革などあらゆる政策を総動員する」と明記した。
成長型経済実現のため直近で取り組むべき政策案も明示。半導体供給網の強靱化に向けた生産拠点整備の継続のほか、次世代蓄電池の実用化支援、債権者の多数決で私的整理が可能となる法案の検討などを盛り込んだ。中間整理案は近くまとめる予定で、政府が6月にも策定する経済財政運営の基本指針「骨太の方針」や25年度予算の概算要求の施策への反映も目指す。
ニッセイ基礎研究所・矢嶋康次の提言「予見性があるエネルギー計画」
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