【厚生労働省】医療費の抑制へ、10月から負担増の先発医薬品リスト公表
財界オンライン / 2024年5月30日 15時0分
特許が切れた先発医薬品の窓口負担が10月からの制度改正で引き上げられる。
同じ効能を持つ安価な後発薬の利用を促して医療費を抑制するのが狙い。厚生労働省保険局はこのほど、制度改正の対象となる医薬品1095品目を公表。抗アレルギー薬「アレグラ」や保湿薬「ヒルドイド」、湿布薬「モーラステープ」など身近な品目が並んだ。特に子育て世代にもなじみが深いヒルドイドは近年、美容や転売など治療目的以外での処方が問題視されており、制度改正には一定の是正効果もありそうだ。
制度改正は特許切れ先発薬について、後発薬との差額の4分の1を保険適用外とし、原則1~3割の患者負担に上乗せする仕組み。後発薬への置き換え率50%以上などの基準で制度改正の対象となる先発薬を選定した。25年度には約420億円の医療費抑制効果があるとされる。また、ヒルドイドの目的外利用については、不正が疑われる大量処方がないか診療報酬の審査支払機関で厳しくチェックする対策を講じてきたが効果は限定的だった。17年からヒルドイドの問題を指摘してきた健康保険組合連合会の幹部は「ようやく実効性のある対策が講じられる」と安堵した様子。
一方、制度改正は先発薬メーカーにとって減収をもたらすことが確実。製薬各社は今年に入ってから厚労関係の国会議員に対し、自社製品を制度改正の対象から外すよう求めるロビー活動を水面下で展開。主要製品が軒並み制度改正の対象になった製薬会社の担当者は「まだ納得できていない。今後も当局に見解をただしていく」と諦めきれない様子だ。
保険局は当初、診療報酬改定の事務連絡を一斉に発出する3月末までに制度改正の対象品目を公表する予定だった。しかし、後発薬への置き換え率が50%以上の先発薬でも薬価が後発薬を下回るケースなどが想定以上に多く、作業に時間がかかった。それでも担当幹部は「例外扱いは一切認めていない」と断言していた。
ニッセイ基礎研究所・矢嶋康次の提言「予見性があるエネルギー計画」
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