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中国経済はどうなっているのか? 答える人 柯隆・東京財団政策研究所主席研究員

財界オンライン / 2024年5月30日 7時0分

柯隆・東京財団政策研究所主席研究員

若者の半数近くが失業状態

 ─ 経済減速が鮮明な中国ですが、今の中国経済を柯隆さんはどのように捉えていますか。

 柯 今の中国は不動産バブルが崩壊して、完全なデフレに突入してしまいました。

 中国で起こっていることは30年前の日本と同じで、家電製品や自動車をいま買うよりも来年、再来年にした方がいいだろうということで、国民が消費を控えている。ただ、食料品は来年に先送りするわけにはいかないので、極力安いものを選んで食べるようになる。高級レストランにお客さんが来ないということで、消費も鈍っています。

 ─ 特に若者の失業率が高いと言われますね。

 柯 ええ。中国の若年層(16~24歳)の失業率は、昨年6月に21.3%だったのが、今年1月の発表では14.9%になりました。

 なぜ下がったのかというと、これは失業の定義が変えられたからです。例えば、大学を卒業しても仕事が見つからない人が実家に戻って親と同居している。そういう人たちは失業者とカウントしないようにしました。だから、昨年までと同じ定義で考えたら、わたしは25%近くあるのではないかと思います。

 ただ、北京大学教授の調査では、昨年6月時点で46%が失業しているという。そうなると、若者の半数が失業しているということになりますし、そもそも農村から出てきた出稼ぎ労働者はこの数字に含まれていないので、それを含めると50~60%が失業していることになります。

 ─ ということは、かなりの社会不安になりますよね。

 柯 すでに社会不安につながっています。昔だったら大変なことになっていると思いますが、今は監視カメラがあるので、人海戦術で抑えている。ですが、抑えれば抑えるだけ不満は溜まっていくわけですから、いずれ深刻な社会不安になる可能性は高いと思います。

 ─ 世界2位の経済大国になった中国ですが、1978年に改革開放政策を進めてから45年余、改めて、試練を迎えていると言えそうですね。

 柯 はい。歴史家に言わせると、過去の漢や唐の時代からひっくるめて、中国の歴史上、繁栄期が何度かあるんですが、だいたい40年くらいで終わるんです。1人の皇帝の在任期間は長くても40年くらいですから、繁栄期が40年を超えることはほとんどありません。そう考えると、もうそろそろ中国経済が下火になってもおかしくないタイミングだと思います。

 現在の中国の経済成長は2001年にWTO(世界貿易機関)に加盟した時から始まりました。そこから上り坂になり、2010年の上海万博あたりでピークを打ちました。それ以降、中国経済は下り坂になり、2013年に習近平政権が発足し、巨大経済圏構想『一帯一路』を打ち出すようになりました。

 もともと『一帯一路』は、昨年亡くなった李克強前首相が考えたものでした。当時の中国経済は供給過剰に陥っていて、過剰設備を輸出するための枠組みだったんです。

続きは本誌で

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