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【株価はどう動く?】6月は相場の転換点となるか?デフレ脱却と円安の関係を考える

財界オンライン / 2024年5月31日 20時0分

6月は相場の転機となるか?

短期サイクルの二番底はいつ入る?

 5月中旬現在、日本株は一進一退が続いています。相場の波動から見ると、今回の株価上昇の短期サイクルの出発点は、2023年10月4日の安値、3万487円でした。それが24年3月7日に4万472円でついに4万円を突破、バブルの高値を抜いて一番天井を付けたのです。

【あわせて読みたい】【株価はどう動く?】米国の金利、インフレはいつ落ち着くか、日本ではバリュー株の底上げ続く

 3月22日に4万1087円を付け、これが現時点では史上最高値となっています。これが二番天井です。23年10月4日から、24年3月22日まで、株価は5カ月という短い期間で1万600円上昇しました。

 今の日本株は短期サイクルではダブルトップを付けた後の動きです。相場の波動では、ダブルトップを付けた後は、ほぼ必ず株価は下落、調整局面となります。

 調整がいつ終わるのかという価格と時間の見通しについては、いつも本連載では波動でお伝えしていますが、1つの目安は3分の1押しで止まっているかどうかです。

 3分の1押しの水準がどこかというと3万7500円です。直近の安値は4月19日の3万6733円です。3分の1押しを少し下回りましたが、半値押しである3万6000円割れはしていないという水準です。

 今後、4月19日の安値に対するダブルボトムを入れる展開になると思いますが、それが3分の1押し近辺であれば休憩時間は短く、再び上昇してくることになるでしょう。

 今の日経平均は3万5000円買い、4万円売りというゾーンにありますから、この日柄調整が終わって4万円を突破する局面がやってくると、次は4万円買いの4万5000売りというゾーンに移行します。

 もし、6月以降くらいに4万円を突破してくれば、年末までの高値は4万5000円プラスマイナス1000円といった水準になると予想されます。

 短期的には日経平均はいつ4万円の壁を突破できるか、さらに言えば4月19日の安値に対するダブルボトムをいつ入れて、上昇してくるかを読むことが重要になります。

 ただ、4月19日に安値を付けて以降、ほぼ安値がなく上昇しています。もう一度4万円近辺を付けて下落することになる場合、二番底は3万8000円前後となるかもしれません。そこから比較的短い調整局面があり、4万円の壁を抜いていくという展開が有力ではないかというのが、波動から見た目先の読みとなります。

 では、3月22日の高値を抜く時期はいつなのかということですが、「3月またがり60日」の日柄で見ると、5月23日あたり、あるいは6月23日あたりが1つの転換点になる可能性があります。

 6月23日は日曜日ですが、この日は今国会の会期末です。そこでもし、解散総選挙となれば6月24日から株価は上昇します。総選挙がなくても、このタイミングから日柄で株価が上昇する可能性があるのです。

 もう1つ、材料としては6月13日、14日あたりは要注意です。日本銀行の金融政策決定会合が開催されるからです。ここでもしかしたら利上げが行われるかもしれず、それが大企業の3月期決算で好業績が相次いでいるにもかかわらず、5月中の株価が重い理由になっています。

 逆に、次の政策決定会合で利上げがなければ、円安が加速して株高となります。日銀総裁の植田和男氏は景気と株価に対して非常に慎重ですから、円安への対策が不足しているという批判はありますが、利上げは早計と考えるかもしれません。

 また今、日本の株式市場に影響があるのは米国の金利です。5月15日発表の米消費者物価指数(CPI)はあまり上がっておらず、インフレがやや落ち着いてきたのではないかという見方が広がり、FRB(米連邦準備制度理事会)に対する利下げ期待が再び出てきています。

 6月に利下げしなくても、FRBの政策姿勢が、前回会合よりも「ハト派」的なものになることが見えるだけでも、米国の株式市場は好感するでしょう。


為替の円安をどう捉えるか?

 日本国内には為替の円安について、中小企業や個人の生活における負担増につながるとして批判的な声も根強くあります。

 ただ、これは以前から指摘していますが30年以上、日本経済が低迷し、企業の業績が上がらず、賃金が上がらず、雇用が失われてきた元凶はデフレです。このデフレを終わらせることが、日本にとって最も重要です。

 このことは安倍晋三。菅義偉、岸田文雄という3代にわたる政権で受け継がれている国策です。安倍政権下では脱デフレに向けて「3本の矢」の政策を打ち出しました。その1本目が「異次元の金融緩和」でした。ただ、この時は2本目の機動的な財政出動はそれほどではなく、3本目の構造改革・成長戦略も遅々として進みませんでした。

 ただ、1ドル=150円台の円安という神風が吹いていますから、コストプッシュインフレ、輸入物価が上がることによって物価高になってきています。

 物価が上がると企業は利益が上がりますし、値上げもできる。それにより「賃金と物価の好循環」を呼び込もうとしているわけですが、まだ賃金の上昇が追いついていません。しかし、円安を止めると日本はデフレに逆戻りです。

 自国通貨安を放置するのかという〝正論〟を言う人も多いわけですが、デフレを終わらせるために一時的に円安を我慢しなければなりません。

 集中治療室に入っていた日本が、ようやく自宅療養に入っているのが今ですが、円安という「注射」がなければ、外に出歩くような健康体を取り戻すことはできないのです。

 デフレ、円高、株安、長期低迷からインフレ、円安、株高、好況到来へと大転換できるかどうかという、日本経済の攻防の分岐点に差し掛かっています。

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