再エネ、水素・アンモニアなど、JERAが5兆円の戦略投資
財界オンライン / 2024年6月3日 18時0分
「再生可能エネルギーの開発と(二酸化炭素=CO2を排出しない)火力のゼロエミッション化を推進することで、日本の電力分野における脱炭素化をリードしていく」
こう語るのは、東京電力と中部電力が折半出資するJERA社長の奥田久栄氏。
国内最大の火力発電会社・JERAが、2035年度までの成長戦略を策定。脱炭素化に向けて、LNG(液化天然ガス)、再生可能エネルギー、水素・アンモニアの3つを戦略的事業領域に設定。同3事業領域に累計5兆円を投資する。
水素やアンモニアは燃焼時にCO2を排出しない。まだまだ製造方法や運搬方法は確立されていないが、化石燃料に代わる新たな燃料として期待されている。同社は現在、碧南火力発電所(愛知県)で石炭の20%をアンモニアに転換する実証試験を行っており、40年代までに100%の転換を目指している。
JERAが目指すのは、火力発電の燃料を石炭から燃焼時のCO2排出量がより少ないLNGへ、そして、石炭やLNGを徐々にアンモニアや水素に転換することで、エネルギーの安定供給を果たしながら脱炭素化を実現する。そして、日本で得た知見やノウハウを海外に展開していこうという考えだ。
「アジアにはまだ電力の安定供給すら実現していない国が沢山ある。現実的なやり方を提案していくことが、低炭素化・脱炭素化に早く効果的に貢献できるのではないか」(奥田氏)
2011年の東日本大震災の前には、日本の発電量に占めるLNG、原子力、石炭の割合はそれぞれ3割程度だった。しかし、震災後は原子力の比率が大きく低下し、足元では1割弱にとどまる。その間、原子力の減少を補う形でLNGと石炭の比率が大きく上昇。現在はこの2つで約7割を占める。
ロシアによるウクライナ侵攻によって、LNGなど、エネルギーの世界的な争奪戦が起こり、日本のエネルギー自給率は11%しかない。
そうした状況下、経済運営や個人の生活に欠かせないエネルギーをどう確保し、長期的な脱炭素を実現していくか。当面のエネルギー不足に対応しながら中長期の視点を失わない覚悟が求められている。
ニッセイ基礎研究所・矢嶋康次の提言「予見性があるエネルギー計画」
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