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堅調な農林中金に死角あり 1・2兆円の資本増強を検討

財界オンライン / 2024年6月12日 15時0分

農林中央金庫は2023年度の決算説明会で、驚きの発表をした。23年度は黒字決算だったが、奥和登理事長は、24年度決算で約5千億円の最終赤字に陥り、1・2兆円規模の資本増強を検討していることを明らかにした。

 2008年のリーマン・ショック以来、業績は堅調だった。メガバンクなど多くの金融機関は好調な決算を維持するとみられており、「なぜ」との疑念が広がった。

 答えは、2022年に入ってからの米国の金利上昇にあった。金利が上がると米国債などの債権価格は下落する。この日の資料によると、24年3月末で市場運用資産のうち42%が海外債権で、多くが米国債とみられている。また、貸出金は約17兆6千億円だったのに対し、運用資産は56兆3千億円にのぼる。米国債の保有割合が、他の金融機関よりも多く、これが巨額の損失につながったようだ。

 米国債はこれまで「堅い運用」の代表的な投資先だった。日本の国債でもいいが、利回りが違った。農林水産業は長らく低迷して資金需要が低く、堅くかつ利回りも良い。赤字体質が多い国内の農協を支えるためにも、米国債を持ち続けてきたのは正しい選択とも言える。今回、金利の上昇に伴い、含み損を抱えた債券を売却して資産運用のポートフォリオを見直す予定。

 一方で、農林水産省の資料によると、国内の農協のうち、経済事業(農業など)では8割が赤字。農林中金は農林水産省と金融庁の双方が監督官庁という珍しい金融機関だが、配当や金利など、農協は農林中金頼みの構造だ。

 今回の資本増強のうち、5千億円を都道府県単位の信用農業協同組合連合会(信連)を中心に要請するとされる。現段階で、国内の農協への影響は不透明で、農林中金にとっても、一時的な損失で終わる可能性もあるが、今回の騒動は、金利のある世界と、農林水産業の厳しい現実をあらわにした。

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