映画・音楽など、コンテンツ価値の最大化目指すソニーグループ
財界オンライン / 2024年6月13日 7時0分
21世紀のソニーは感動をつくることに貢献
「クリエイターの創造性を解き放ち、無限の感動が生み出される世界を目指す。そうした未来に向け、クリエイターやファン、パートナーと共に、(事業の)境界を超えたIP(知的財産)価値最大化を着実に進める」
ソニーグループ社長の十時裕樹氏は、映画や音楽といったコンテンツIPの獲得や、IPの制作を担うクリエイターの支援を強化していく考えをあらためて強調した。
背景にはゲームを含むコンテンツ事業がソニーGの売上高の過半を占めていることや、同社のテクノロジーでクリエイター向け市場を深耕できるとの計算がある。例えば、ミラーレス一眼カメラに搭載する画像センサーは「クリエイターが感動の瞬間を捉えることに貢献している」(会長の吉田憲一郎氏)。こうした技術基盤がIP価値の最大化にも寄与すると見込む。
ただ、従来コンテンツ産業の浮き沈みは激しく、優良なIPの取得も一筋縄でいかない。
主力のゲーム機『プレイステーション(PS)5』は近年、コロナ禍の影響が薄れ、巣ごもり需要が減ったことで、出荷台数やゲーム事業の収益計画を下方修正する場面が目立った。ソニーGは2027年3月期までにIPの買収などに1兆8000億円を投じる計画を掲げてきたが、十時氏は「(良い案件があった場合でも)予算枠をはみだすことは、あまり考えていない」と慎重な姿勢を示した。
米メディアのパラマウント・グローバルの買収を検討しているとの一部報道に関しては「コメントしづらい。一般論として、投資リターンが我々の尺度と合う案件は検討していく」(十時氏)との説明にとどめた。株式市場では「巨額の買収費用が重荷になるのでは」(業界関係者)との懸念がくすぶり、ソニーGが提案内容を再考するとの観測も出ていた。
吉田氏は「20世紀は(携帯型音楽プレーヤーの)『ウォークマン』やカラーテレビ、CDなど、感動を届けることに貢献してきた。21世紀のソニーは感動をつくるところに貢献していきたい」と語る。競争の激しいコンテンツ業界でどう存在感を高めるか、かじ取りが問われ続ける。
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