根強く残る日産の「割戻金」制度 社長直轄組織で取引適正化へ
財界オンライン / 2024年6月20日 15時0分
「(自動車メーカーという)企業としてサプライヤーとどう向き合っているか。そのケアが足りていない」─。日産自動車社長の内田誠氏はこう語る。
【就任1年】 トヨタ・佐藤恒治の『緊張感ある投資』 好業績でも手綱を緩めず
同社は下請け業者への納入代金を発注後に減額した下請け法違反問題を受け、内田氏の月額報酬の30%を3カ月分自主返納することに加え、再発防止に向けて取引先の相談に応じる社長直轄の組織を設ける。
同社では発注後に不当に減額する「割戻金」という商習慣が根付いていた。3月にはこの行為が下請け法違反に当たるとして公正取引委員会から再発防止の勧告を受けた。約2年間で下請け業者36社を対象に計36億円超を減額していた。日産は全額を支払った。
さらにその後も、一部報道で不当な減額を続けていた疑いが指摘されたが、同社が設置した調査チームの調査では、違法行為は確認されなかったとした。
ただ、「取引先から厳しい声が上がっていることを大変重く受け止めている。サプライヤーの声を聞けていなかった」と内田氏が語るように、日産の行為は約30年前から行われており、社内で常態化していたとみられる。
ある関係者は「カルロス・ゴーン時代の改革の残り香とも言える。『コミットメント』と呼ばれる必達目標が現場では未だに根付いており、サプライヤーに対しても『1円でも安くする』という考え方から脱却できていない」と指摘する。
電動車への移行期にある自動車業界にあって、足元ではガソリン車やハイブリッド車で収益を上げて次世代の電気自動車(EV)などへの研究開発費の原資に充てる必要がある。そのためには、サプライヤーからの協力は不可欠。電動ユニットなど自動車メーカー単独でクリアできる内容ではないからだ。
内田氏は割戻金制度を廃止し、社長直轄の「パートナーシップ改革推進室」を設置。日産社員が現場に足を運び、サプライヤーの困りごとを掬い上げ、その対策などを経営陣が意思決定を行う体制づくりを目指す。
ただ、ゴーン氏が日産を去って約5年。「上司の顔色を伺うより顧客を見なければならない。もはやゴーンのせいにはできない」(同)という声も上がる。日産の自浄作用が求められる。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
公取委、トヨタ子会社に下請法違反で勧告へ 金型の保管要求=関係筋
ロイター / 2024年7月1日 12時56分
-
日産、内田社長が株主総会で謝罪 下請法違反、法令順守徹底と説明
共同通信 / 2024年6月25日 12時57分
-
自動車メーカーの老舗 日産の行方 <後編>
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年6月12日 11時30分
-
自動車メーカーの老舗 日産の行方 <前編>
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年6月11日 11時30分
-
日産「下請けいじめ」釈明に部品会社は怒りの声 「100万台増」の反攻計画にも冷ややかな視線
東洋経済オンライン / 2024年6月10日 7時40分
ランキング
-
120年ぶりの新紙幣に期待と困惑 “完全キャッシュレス”に移行の店舗も
日テレNEWS NNN / 2024年7月2日 22時4分
-
2小田急線「都会にある秘境駅」が利用者数の最下位から脱出!超巨大ターミナルから「わずか700m」
乗りものニュース / 2024年7月1日 14時42分
-
3「7月3日の新紙幣発行」で消費活動に一部支障も? 新紙幣関連の詐欺・トラブルにも要注意
東洋経済オンライン / 2024年7月2日 8時30分
-
4カチンコチンの「天然水ゼリー」が好調 膨大な自販機データから分かってきたこと
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月30日 6時30分
-
5イオン「トップバリュ」値下げ累計120品目に 「だし香るたこ焼」など新たに32品目
ORICON NEWS / 2024年7月2日 16時26分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)