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「スタジアムに留まらない賑わいをつくる」 DeNAが進める“スポーツを軸にした街づくり”

財界オンライン / 2024年7月19日 7時0分

「横浜市旧市庁舎街区活用事業」の街区全体イメージ

スタジアムとは違ったプラスアルファの面白さを!

「横浜市旧市庁舎街区プロジェクトでは、街づくり全体にかかわりながら、特に当社の強みとして、『ライブビューイングアリーナ』と『エデュテインメント(教育と娯楽を組み合わせた造語)施設』により、賑わいづくりや集客に努力していく」

 5月に開催された決算説明会、ディー・エヌ・エー(DeNA)社長の岡村信悟氏は、このように話した。

 5年ぶりに米大リーグから復帰した筒香嘉智選手の加入により、優勝への期待が高まるプロ野球・横浜DeNAベイスターズ。本拠地のある横浜・関内では新しい街づくりが進む。

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 三井不動産を代表企業とし、鹿島建設や京浜急行電鉄など、8社によるコンソーシアムによって推進中の横浜市旧市庁舎街区活用事業。同プロジェクトは、高さ170メートル・33階建てのオフィスビルを建設する他、8階建ての旧市庁舎行政棟を保存・活用する形で星野リゾートがホテルを運営。2026年春のグランドオープンを予定しており、将来的に横浜スタジアムとも歩行デッキでつながる計画だ。

 スポーツ・飲食・大型スクリーンによるライブ配信を組み合わせた日本初の常設型「ライブビューイングアリーナ」や、遊びとテクノロジーを融合させた「エデュテインメント施設」を設置する予定で、その運営を担うのがDeNAである。

 特に目玉となっているのが、ライブビューイングアリーナ。現在、日本で一番大きい映画館のスクリーンとほぼ同じくらいとも言われる大型ビジョンで、スポーツや音楽ライブなど、臨場感あるエンタメ体験を提供しようとしている。

「例えば、選手目線や応援団目線など、いろいろな視点からの映像を流したり、試合後に選手や監督にここへ来てもらって試合の裏話を披露してもらったり、スタジアムとは違ったプラスアルファの面白さを提供できる場にできれば。これは年間70試合くらいのホームゲームを主催し、常時3万人のお客様を集めるスポーツコンテンツを運営している当社だからこそ、できる取り組みだと思う」(DeNAスポーツ・スマートシティ事業本部本部長の對馬誠英氏)



 関内の街づくりという観点で考えると、横浜スタジアムの存在は大きいが、一方で試合の無い日やシーズンオフの冬の期間に人がいなくなるという課題がある。そのため、ここにライブビューイングアリーナを設置することで、アウェーゲームの放映をしたり、他のスポーツイベントや音楽ライブ、お笑いライブなどを開催したりすることで、年間を通じた賑わいづくりを検討しているようだ。

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 DeNAが野球事業に参入し、当時の横浜ベイスターズを子会社化したのが2011年12月。2011年に110万人だった年間観客動員数は、2023年には228万人。1試合あたりの観客も3万2126人と、ほぼ倍増。今では「最もチケットが取りにくい球団の一つ」と言われるほどの人気球団となった。

 それほど集客能力があるのだから、それをスタジアムの外側に広げる街づくりというのは自然な流れでもあるのだろう。

 DeNAは野球の他、2018年にプロバスケットボールクラブ・川崎ブレイブサンダースを承継、2021年からプロサッカー・SC相模原の経営に参画している。

 現在は、京急川崎駅前での再開発にも着手。2028年の開業を目指して、最大1万5千人が収容できるアリーナやホテル・商業施設が併設された複合エンターテインメント施設を開業する予定。ここだけで、 完成後の経済波及効果が年間1200億円超の試算もあるという。

「スポーツチームというIP(知的財産)コンテンツを持ち、その本拠地となるスタジアムやアリーナを一体経営することで賑わいをつくり、周辺の街に広げようと。これを当社では『Delightful City(デライトフルシティ)構想』と呼んでいて、野球で得たノウハウや人材をバスケットボールやサッカーに展開しようと考えている」(對馬氏)




日本ハムが進める北海道・北広島市の街づくりでタッグ
 現在、全国では野球やサッカー、ラグビーなど、スタジアムやアリーナを含めた主要スポーツ施設だけでも、80~90件の新設・建替計画が進行中。その意味では、DeNAがこれまで培ってきたノウハウを必要としている企業や自治体も多く、同社にとっては新たなビジネスチャンスとなっている。

 昨年3月、プロ野球の北海道日本ハムファイターズが、本拠地を札幌市から北広島市に移転し、野球場を中心とした新たな街づくりが話題になった。昨年12月には、その北広島での街づくりを加速させようと、不動産開発の日本エスコンなどとDeNAが共同出資会社を設立。国内のスポーツを核とした街づくりに、様々な会社が知見を持ち寄る事例も出てきた。

「ファイターズさんに限らず、多くの企業や自治体とタッグを組んで、いろいろなスポーツビジネスの可能性を広げることができれば。そのためにも関内の街づくりは重要で、横浜一帯の玄関口として、横浜の新たな顔となるような拠点をつくり、ここを起点に横浜の街を楽しんでいただけるような場所にしたい」と語る對馬氏。

 日本初のガス灯や鉄道、テニスコートなど、歴史や文化の香りが漂う横浜で始まった、スポーツを軸にした新たな街づくり。関内が臨海部のみなとみらい21地区や横浜駅前とは違った形の街に生まれ変わりそうだ。

岡本信明・横浜美術大学長 「キラリと光る大学運営を。芸術関連の大学であるからこそできる人づくりです」

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