電気事業連合会会長(中部電力社長)・林 欣吾「電力の安定供給と将来的な脱炭素の両立へ、多元方程式を解くつもりであらゆる手段を尽くす!」
財界オンライン / 2024年7月24日 14時0分
「日本は大きな転換点にある。これから日本が成長し、豊かで安心な暮らしを実現するには、それを支えるエネルギーの安定供給が大事であり、改めて身の引き締まる思い」
全国の大手電力会社でつくる電気事業連合会。足元の電力の安定供給と将来的な脱炭素への両立をどう進めるか、そして、電力販売を巡るカルテルや原子力発電への信頼回復が課題となる中、4月から会長に就任した。
今後は生成AI(人工知能)の普及に伴い、データセンターの需要が増加する。日本のエネルギー自給率は約12%。ただでさえ、真夏や夏冬の電力需給逼迫の懸念がぬぐえない中で、日本はどう電力確保を図り、生成AIの利用拡大に伴う電力需要の増加に対応していくべきか。
「これまで省エネを進め、人口減少に伴い、日本の電力需要は縮小傾向にあると思われていたのが、一気に成長マーケットになってきた。経済成長の足かせにならず、絶対にエネルギーを途切れさせることのないよう、再生可能エネルギーも、原子力も、火力も、あらゆる手段を尽くして電力確保につとめたい」
現在、政府ではエネルギー政策の方向性を示す「第7次エネルギー基本計画」の策定が進んでいる。火力、原子力、再エネ、水素・アンモニア、それぞれに利点と課題がある状況下、企業活動や日々の生活に欠かせないエネルギーをどう確保していくかは大きな課題だ。
「安定供給、脱炭素、経済安全保障と、多元方程式を解くつもりで解決にあたる。再エネを増やすのは当然として、安全性が担保された原子力は再稼働し、火力も水素・アンモニアへの転換やCCS(二酸化炭素の回収・貯留)などを活用して、可能性のあるエネルギーは全部確保するくらいの覚悟で取り組む」
中部電力では2020年から社長。エネルギー業界を取り巻く環境が大きく変化、先行きが見通しにくくなっている中で、トップに必要なことは「自分の言葉でビジョンを語り、社員や社会と共感を創ること」と指摘。電事連においても「社会との共感を創る」ことが信条だ。
【著者に聞く】『エネルギーの地政学』 日本エネルギー経済研究所 専務理事・小山 堅
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