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【ずいひつ】東洋食品専務取締役・荻久保瑞穂が語る「子供たちの成長と健康に直結する『学校給食』に携わって」

財界オンライン / 2024年7月31日 15時0分

未来を担う子供たちの成長と健康を支える─。当社グループは学校給食をはじめ、病院・介護福祉施設・保育園などに給食を提供しています。中でも学校給食は全国約3890校の小・中学校に1日当たり139万食以上を提供しており、6人に1人が当社の給食を食べていることになります。

 創業者である私の祖父は大手企業の工場で食堂の責任者を務め、その経験を生かして1966年に当社を創業。当時は食堂運営がメインでしたが、2代目の現社長が、学校給食事業を大きく拡大しました。学校給食の民間委託が始まった翌年の86年に民間第1号として学校給食市場に参入。その後、全国に事業を展開していきました。

 現在の学校給食の市場規模は約4700億円。学校内の給食室で調理する「自校調理方式」と複数校の給食を一括調理し、各学校に配送する「給食センター方式」に大別されますが、当社は特に後者を得意とし、全国297カ所の給食センターを運営しています。近年は給食センターの設計・建設・維持管理・運営を含むPFI方式が増加し、代表企業45件の実績があり、大手ゼネコンに次ぐ2位です。

 飲食業界の中で衛生管理基準が最も厳しいのが学校給食です。96年の病原性大腸菌O―157による集団食中毒事件以降、調理から2時間以内に食べる工程管理や温度管理など、安全・安心を最優先とした衛生管理体制が求められるようになったのです。

 その中で当社は社是に掲げる「信頼」をベースに徹底した衛生管理を実施してきました。保健所出身の元食品衛生監視員約30名を集め、「衛生部」という社長直轄の独立した部署を設置しています。更に、この衛生部を中心に、ISO22000(食品安全マネジメントシステム)の認証を学校給食に特化して、業界に先駆けて取得しました。これらの取り組みにより、創業から57年間、「食中毒ゼロ」という実績を継続しています。

 学校給食は単に大量に調理すれば良いというものではありません。自治体が決めた食材と献立を使い、衛生管理ルールを守りながら、効率的に、おいしく仕上げる。そのためには、素材の味を最大限に引き出す調理手順や味の調整など、「大量調理でおいしい給食」を実現する多くのノウハウが求められるのです。

 当社での私の役割は女性が働きやすい職場環境づくりでした。私は社長の長女で、外資系の金融企業で営業やファンドの運用に従事。2016年に当社に入社し、毎年増加する社員に対する人事制度の見直しや社員が辞めない組織づくりに注力しています。従業員は子育て中の女性が多く、私の視点も生かせるのではないかと思っています。

 自治体でも職員の人手不足が課題になっており、今後も民間委託が更に増えるでしょう。一方で、昨今になってこそ委託料が上がってきましたが、いまだに入札で安く委託されているケースも多いです。物価高と人件費の高騰により、給食会社の3割が赤字、6割が業績悪化となり、倒産も増えています(帝国データバンク調べ)。「安い給食」を維持するには限界があり、給食提供を担う企業がなければ、子供たちの成長と健康は維持できなくなります。その意味でも、我々は今後もその受け皿になり続けたいと思っているのです。

 学校給食は子供たちの成長と健康に直結する仕事ですし、食育や子供の貧困対策にもなります。さらに雇用創出による地域貢献の側面もあります。この事業の社会性をもっと世の中に広く知っていただきたいです。

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