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【農林水産省】シラスウナギの大量生産まであと一歩

財界オンライン / 2024年8月20日 11時30分

水産庁は7月4日、ニホンウナギに関する研究成果を発表した。研究しているのは、卵からシラスウナギにする技術で、ようやく大量生産へのめどがついたという。現在、海や川で採捕するシラスウナギの価格が高止まりしており、養鰻業者らに朗報となった。ただ、鰻重の価格が下がるまでにはあと少し時間がかかりそうだ。

 日本で食べられているウナギの多くはシラスウナギを鹿児島や静岡、愛知などの養鰻業者が購入し、育てたもの。しかし、シラスウナギの漁獲量は年々減少しており、年にもよるが、半分ほどが輸入という状況。

 この状況を打開しようと、水産庁は1990年代より卵からシラスウナギまで育てる技術開発を開始した。2002年には独立行政法人「水産総合センター(現在は水産研究・教育機構)」が世界で初めて卵からシラスウナギまでの人工飼育に成功していたが、大量生産が課題となっていた。

 研究成果の発表は、①生産コストについて1尾あたり1800円を達成②年間3万~5万尾の生産が可能になった③自動給餌装置など技術開発を継続する、といった内容だった。

 シラスウナギをつくるのに1尾1800円という金額だが、2016年ごろには1尾4万円だったという。ただ、最近のシラスウナギの取引価格は1尾200~600円とされ、あと少しのコストダウンが必要だ。

 年間3万~5万尾の生産量でも、日本では年に約1億尾のウナギが消費されているとされる。このため今後の生産設備の拡大が必要になるという。

 ニホンウナギは、日本から約2千キロ離れたマリアナ諸島の海域で産卵すると言われる。卵から孵化したあと、海流などで運ばれ、シラスウナギとして日本の沿岸に来るという神秘的な生態だ。

 シラスウナギは長さ約6センチメートル、重さ約0.2グラムと爪楊枝ほどの大きさだ。それを養鰻業者が大きくし、蒲焼きとなって私たちの口に入る。最近、鰻重の1人前4千円はする。当分、庶民にとって高嶺の花だ。

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