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「新紙幣発行がキャッシュレス化を後押し」リクルートが進めるキャッシュレス戦略

財界オンライン / 2024年8月29日 7時0分

キャッシュレス決済を推奨し、2023年1月から『Airペイ QR』を導入したJR東海バス

現金の使用は旧紙幣のみとするラーメン店やバス会社も

 神奈川県横浜市の郊外にあるラーメン店『麺屋空海 センター北店』。店内に設置されている券売機は、新紙幣発行に伴い、新紙幣への切り替え対応が必要になっていた。しかし、切り替えコストがかかるため、昨年12月から券売機による現金対応とキャッシュレス決済の併用を開始。今年7月の新紙幣発行後は現金の使用を旧紙幣のみとした。

 同店が導入したのが、リクルートが手掛けるキャッシュレス決済端末『Airペイ』と、来店客が座った席から商品を注文する『Airレジ オーダー』。従来は、券売機の前で行列などの待ちができると、混んでいると勘違いして帰ってしまったり、追加注文に並ぶのが面倒くさくて止めてしまう顧客がいたりしたが、店舗のデジタルシフトを進めることで、こうした機会損失を避けることができ、スタッフの負担軽減や売上増につながっている。

「もともとキャッシュレス化を検討していたところに、新紙幣発行というタイミングが重なり、キャッシュレス化を推進しようということを決めていただいた。新紙幣発行を機に、キャッシュレス化に踏み切る企業は明らかに増えている」

 こう語るのは、リクルート SaaSプロダクトマネジメント室決済プロダクトマネジメントユニット部長の山本智永氏。

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 20年ぶりの切り替えで、7月3日から発行された新紙幣。旧紙幣も使用できるとはいえ、全ての業界で新紙幣への対応が求められるようになった。

 その代表が、飲食店などで食券を購入する券売機。1台あたり数十万円から100万円近い切り替えコストが必要で、外食や小売業界などではレジや両替機などの改修コストが負担に。こうした背景から、冒頭のラーメン店同様、現金を扱わないキャッシュレス化へ踏み切る企業が増加している。

 名古屋市が本社で、高速バス事業を展開するJR東海バスもその一つ。近年は現金払いの利用者が減っていることや、インバウンド(訪日観光客)の増加によるキャッシュレス対応ニーズの急増、また、バスの車内に設置する運賃箱の対応が運転手の負担になっていることなどから、2023年1月に『Airペイ QR』を導入。車内でのQRコード決済に対応できるようになり、今年7月には車内運賃箱の運用を取りやめた。

 新紙幣への対応に加え、将来発生するであろう老朽化によるメンテナンスや取り換えにかかるコストを回避した形だ。

「新紙幣対応で、券売機を使っている飲食店や交通系、また、小売りや美容室等の事業者から問い合わせが増えている。お店の方が現金を用意するだけでも大変だし、毎日のレジ閉めも大変で、それを銀行の夜間金庫に預けに行くのは防犯上のリスクもある。キャッシュレスやオンライン上でそうした対応や業務支援がでればと」(山本氏)




国内外74種類の決済に対応

 経済産業省によると、2023年の日本のキャッシュレス決済比率は39.3%。政府が19年に掲げた25年までに4割程度にするという目標達成へ向け、順調に増加している。

 内訳はクレジットカードが最も多い83.5%。コード決済が8.6%、電子マネー5.1%と続き、決済総額は126.7兆円まで拡大。そのうち、リクルートの『Airペイ』による流通総額は1.8兆円まで拡大。

 24年6月末時点での加盟店舗数は49.1万軒。この1年間で新紙幣への対応も含めて約20%増加しており、同社が調査会社に依頼した結果によると、導入率ナンバーワンの決済サービスになっているという。

 その理由は、クレジットカードや電子マネー、QRコードなど、国内外74種類の決済に対応できること。インバウンドでも本国にいる時と同じように、ストレスなくお買い物や観光を楽しむことができるのだ。

「日本政府観光局の統計によると、欧米系の訪日外客数は、すでにコロナ前を上回る値で増加しており、中国の方も8割くらいは戻ってきた。欧米の方はクレジットカード、中国などアジアの方はQRコード決済が多いという特徴があり、当社の『Airペイ』なら、多くの国の決済手段に一つのサービスで対応できる。この点がわれわれのサービスの強み」(山本氏)

 すでに今年上半期(1~6月)のインバウンドは1778万人と過去最高を記録。普段、都内を歩いていると、外国人を見ない日はないと言ってもいい状態である一方、人口減少時代に入り、人手不足は年々深刻化。リクルートワークス研究所の調査では、2030年には約341万人、2040年には約1100万人の労働供給不足が発生すると試算している。

 こうした状況下、「インバウンドの増加や人手不足は、間違いなくキャッシュレス化を後押しすることになる。当社の『Air ビジネスツールズ』は、もともと事業を営む方々の煩わしい業務の負担を、テクノロジーの力で軽くしたいということから始まったサービス。今後もデジタル技術の活用で、様々な事業者の支援ができれば」と語る山本氏。

 キャッシュレス決済の普及によって、かつてほど現金を持ち歩かなくなった日本人。それでも、新紙幣発行がキャッシュレス化の推進を後押しする効果は十分にありそうだ。

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