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都会と郷里をつなぐもの

財界オンライン / 2024年9月9日 15時0分

伊那市内から仙丈ヶ岳をのぞむ

開拓魂の旺盛な小坂家

「今は大都市・東京が日本をリードしていることになっていますが、将来的には伊那のような地方都市が日本を代表するコミュニティになると。それを可能にするために、何かお手伝いができればと思っています」と、東京・銀座の小松ストアー(ギンザコマツ)社長の小坂敬さん。親戚の小坂文乃さんがこのたび長野県伊那市の特命大使に選ばれた。信州・伊那といえば、伊那谷の中心地。小坂家の先祖、駒吉(小坂敬氏の曽祖父)は江戸末期、江戸に出て上野・輪王寺の御用商人となり成功。その子・梅吉は銀座の料理店・松本楼を父から継ぐ。戦前は貴族院議員なども務め、政治家でもあった。そして、日比谷松本楼もまた日本の近代化の歴史とともに歩みを進めてきた。

 オープンしたのは日露開戦前の1903年(明治36年)であった。日露戦争で勝った日本は南樺太を手に入れたりするが、日本国民は「戦勝国としての戦利品が少ない」として不満を募らせた。結果、日比谷焼き討ち事件が起き、日比谷松本楼も消失する。

 そして、1971年(昭和46年)沖縄返還交渉に反対する学生デモが吹き荒れ、反対運動の参加者が日比谷公園に立てこもるという事件にも遭遇。この時も日比谷松本楼が焼き討ちされるという悲劇が起きた。

 そうした時代の転換期に小坂家は生き抜いてきた。その小坂敬さん・文乃さんが、信州・伊那市特命大使に選ばれるということになった。


人と人とのつながり

 地方の振興をどう図るか─。現在市長4期目を務める白鳥孝さんは「伊那は、食べ物と水を含めた一次産業をちゃんとやろうと。森林を手当して、水を安定的に供給、エネルギーも水力発電で、森から出てくる木を使った木質バイオマスを活用してエネルギーを賄っていく」と語る。

 そして、自給自足の経済が可能だという伊那地方の特性。居住地エリアは標高630メートル台で、それ以外の高いところは1200メートルあるということで、いくつもの農産物が時差でできるというのが強み。グローバル化が進む中で、地方がどう世界と結びつくかが今後の課題。小坂敬さんは、若い頃米国に留学し、米フィリップスで働いた経験を持つ国際派経営者。

 一方で、銀座の世話役として働き、小唄、舞、茶道にも親しむ文化人でもある。

 また、文乃さんは明治末期、中国革命のリーダー・孫文を物資面で応援した梅屋庄吉(1869年-1934年)の曾孫にもあたる。

 19世紀末から20世紀初め、アジア諸国は欧米列強の圧力を受け、植民地化されていった。

 その時、香港で事業に成功していた梅屋は「日本と中国は手を携えて欧米列強に対抗していこう」と孫文と協力を誓い合った間柄。

 世界環境が激変する今、小坂・梅屋家の先人たちの活躍を想起させる今回の伊那市の特命大使就任である。

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