「繊維は成長分野!」伊藤忠がデサントをTOB
財界オンライン / 2024年8月30日 7時0分
伊藤忠商事(石井敬太社長)がグループ再編を進めている。
衣料品メーカー・デサントと化学品メーカーのタキロンシーアイへTOB(株式公開買い付け)を実施して、完全子会社化する。総額は約2200億円。伊藤忠はさらなるグループの経営資源活用で、収益の拡大につなげたい考えだ。
「繊維は川下起点で広がりが期待できる重要な位置づけ。国内でのプレミアムブランドの価値を高め、また海外についても、伸長している中国のみならず、停滞しつつある韓国をてこ入れしていく」
伊藤忠商事副社長CFO(最高財務責任者)の鉢村剛氏は、デサントをTOBする理由について、こう語る。
スポーツ衣料品分野は近年、世界的に伸長。米ナイキや独アディダス、日本でもミズノやアシックスだけでなく、ユニクロも同分野を強化している。デサントも日本や中国を中心に販売が好調だが、かねてから、成長市場が中国だけに偏っていないかという懸念を持っており、海外事業の強化・拡大を図る。
また、タキロンシーアイに関しては、主力の建材、包材、フィルム事業は国内で市場縮小傾向にある他、世界的な脱プラスチックという流れもある。
こうしたことから、「今後の海外を含めた成長と将来想定される化学品業界の再編に備え、自由度を高めるために非上場化する」(鉢村氏)としている。
現在、伊藤忠はデサント株式の44.44%、タキロンシーアイの55.49%を保有。2社はTOB成立後に上場廃止となる見通しだ。
24年度の純利益見通しは8800億円と、過去最高益の更新を目論む伊藤忠。2020年にはコンビニエンスストア事業を手掛けるファミリーマートをTOBして、完全子会社化。非資源・資源の比率がだいたい「3対1」となるよう、成長事業に対しては、親会社の伊藤忠がより直接的に関与することで収益の拡大を図ってきた。
同じく、三菱商事の24年度の純利益見通しは9500億円、三井物産は9000億円。総合商社3強による激しいつばぜり合いが続く中、自らの強みである非資源分野のさらなる強化を図る伊藤忠である。
第一生命経済研究所首席エコノミスト・熊野英生の提言「トランプ再選リスク」
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