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【株価はどう動く?】10月には「資産インフレ相場」第2ステージ始まる、新首相が左右する株価の行方

財界オンライン / 2024年10月11日 19時45分

石破首相を市場はどう評価するか?

米国の利下げを織り込む

 相場環境で、前回に比べて最も大きな変化はFRB(米連邦準備制度理事会)が予想通り利下げしたことです。しかも、0.5%という、予想より大幅な利下げとなりました。

 これは今後のキーポイントです。昨年末から米国株が高かったのは、インフレが収まりつつあり、利下げがあるという見通しだったからです。なかなか実行されませんでしたが、今回のFOMC(米連邦公開市場委員会)で待望の利下げが決定され、日米の株式市場は歓迎しました。

 日本市場では、米国の利下げを織り込んで円高が続いてきましたが、これが一段落した感じになっています。ですから前回指摘した通り、今の為替相場は7月3日に161円までの円安があり、9月17日には140円34銭まで円高になりました。しかし利下げは株価に織り込まれましたから、この後は当分、140円から150円のゾーンで推移してくる可能性があります。

 この利下げを受けて、日本の株価も上昇しました。しかも、利上げが予想されていた日本銀行は慎重に、利上げを見送りました。短期的な株式市場の見通しでは、この9月27日の自民党総裁選後から10月いっぱい、次のFOMC、日銀の政策決定会合頃まで、日本の株価は堅調な動きが予想されます。

 日銀は、植田和男総裁の発言のように「適時適切」な動きが期待されます。市場に影響が出るような急激な利上げ、金融引き締めは行わないのではないかと見ています。物価目標2%の旗は降ろさないものの、予想以上にゆっくりしたペースで動くのではないでしょうか。

 総裁選では、石破茂・元幹事長が勝利。経済成長重視、金融緩和継続で、高市人気が高まって、株価が上昇していましたが一転、時間外取引で日経平均株価が大幅安、外国為替市場は円高。週明け、9月30日も株価は続落して「石破ショック」、急落相場となっています。

 高市氏は「経済成長」を重視する姿勢で、もう一度、日本経済をてっぺんまで押し上げると宣言していました。「アベノミクス」の継承者でもあります。

 しかし、石破首相では株式市場は波乱の展開が予想されます。果たして10月解散、総選挙で株高となるでしょうか。石破首相が様々な経済対策を打ち出せば、年末までに7月11日の高値、4万2426円を突破するなど、3万5000円から4万円のゾーンから、4万円から4万5000円のゾーンに入っていく可能性もありますが、石破新首相の〝お手並み拝見相場〟となるでしょう。

 さて、昨年4月から始まった、円安、脱デフレ、賃上げインフレ、インバウンド(訪日外国人観光客)を織り込んだ「資産インフレ相場」、「バリュー株底上げ相場」は今年3月で天井を付けました。天井を付けた後も高値圏で揉み合い、7月11日の高値で二番天井を打って、第1ステージが終了しています。

 昨年4月から今年3月までですから、12~13カ月という時間の波動通りに動いています。8月5日の急落については、私は売られ過ぎだと「スガシタボイス」会員の皆さんにお伝えしました。二番天井を付けて、誰もが警戒感を強めていたところに米国株が急落したことで、市場参加者が「投げた」形です。

 人間の心理でいうと、狭い家の中で火事が起き、皆が出口に殺到して大惨事になった形です。

 結果的には米国株の下落も一時的でしたから、8月5日以降、日米の株価は戻り、9月9日の3万5247円が二番底となって上昇しています。

 波動から見ると、10月以降、年末にかけて「資産インフレ相場」の第2ステージが始まるかもしれません。その場合は石破政権が選挙で勝利、支持率上昇が条件です。第1ステージと同様に、業績見通しのいい、好業績、高配当の一流企業の株価の底上げが続きます。「新NISA(少額投資非課税制度)」の資金が、年初から、そうした銘柄に向かっているからです。

 第1ステージでは海運、鉄鋼、商社が上昇しましたが、この3業種はかなり上昇しましたから、投資家としては新しいテーマ、銘柄が欲しいところです。

 足元でやや円高のため、内需関連で株価がそれほど上がっておらず、業績がよくなりそうな企業が注目されます。食品、外食、医療、建設、不動産など内需、消費関連が該当します。

 また、年末に向かって為替がどうなるかですが、足元で専門家の見方は分かれます。私は一定のゾーンで、株で言う「保ち合い」の状態になるのではと見ています。140~150円のゾーンで140円がフロア(床)、150円が壁です。

 今後は、FRBの利下げで日米の金利差がさらに縮まる可能性があるため、円高局面はあるかもしれませんが、その一方で円売り、ドル買いの動きもあると思います。なぜなら、2200兆円にもなった日本の個人金融資産の、ごく一部でも半導体関連の米エヌビディアの株を買ったり、ニューヨークダウ連動のインデックスファンドを買ったりという動きが、まさに円売り、ドル買いだからです。

 日本の個人投資家の資金は、日本株にも入ってきますが、米国株やドル建ての資産にも多く流れると思います。その理由は、経済成長という面では米国は世界で断トツだからです。日本にも経済成長の芽はありますが、米国とは比較になりません。

 一時的に、米大統領選を前に株価は調整するかもしれませんが、中長期的に米国株の上昇は続くと見ています。経済政策に必ずしも精通はしていなかったジョー・バイデン大統領の任期中も株高が続いたことは、その表れです。

 もう1つ、米国では世界で断トツの技術革新が起きています。米国の経済成長と技術革新を買う動きは、日本からだけでなく世界中から出るでしょう。

 また、今後ますます地政学リスクが高まることが予想されますが、これも円売りにつながります。日本を取り巻く環境は厳しさを増しています。中東の戦火は拡大する方向にありますし、ロシア・ウクライナ戦争も簡単には終わりません。戦争・インフレの拡大などから今後も円安傾向は続くと見ています。

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