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野村証券の相場操縦、違反は少額も「貯蓄から投資へ」への影響大

財界オンライン / 2024年10月17日 19時0分

野村ホールディングスの本社が入るアーバンネット大手町ビル

日本国債の先物取引で「相場操縦」を行ったとして、証券取引等監視委員会が野村証券に対して2176万円の課徴金納付を命じるよう金融庁に勧告した。

 監視委などによると、自己資金で取引する野村証券の「グローバル・マーケッツ」部門の管理職だったトレーダーが2021年3月に大阪取引所に上場する長期国債の先物取引で、取引を成立させる意思がないにもかかわらず、大量の売買注文を出す「見せ玉」という手口を使って不正に価格を操作していた。

 このトレーダーは、過去にも同様の取引で、日本取引所グループ(JPX)自主規制法人から不正の疑いを指摘されていたが、トレーダーが「違法性はない」と主張したため、野村証券は業務を継続させていたという。

 監視委は市場のゲートキーパーである証券会社、それも最大手の杜撰なコンプライアンス(法令順守)体制が露呈したことを重大視、厳罰姿勢で臨んだようだ。国債の先物取引を巡る金融機関による相場操縦が問題となったのは4例目。

 背景に、日銀の異次元の金融緩和政策で通貨流通量は増加したが、国債市場では日銀が大半を吸収したために市場の流動性が低下。債券トレーディング部門がノルマの達成のため、不正に走った構図が指摘される。

 不正行為を犯したトレーダーが管理職だったことも業界や当局に衝撃を与えた。管理職トレーダーがJPX自主規制法人の警告を無視し、相場操縦を繰り返してわずかな儲けに走った背景には組織のリストラを避ける狙いがあった可能性がある。

 新NISA(少額投資非課税制度)も追い風に、野村ホールディングスの4―6月期の連結純利益は前年同期比3倍の689億円に上った。

 足元の業績は好調と言えるが、今後は相場操縦の影響が懸念されている。

 社債市場では、発行企業が野村証券を起債の主幹事から外す動きが広がる。野村証券は「法令順守体制や内部管理体制の一層の強化・充実を図り、再発防止と信頼回復に努める」とコメントを発表。

 投資家の不信を解消できなければグループの業績に打撃を与えるほか、国を挙げて進める「貯蓄から投資」への流れを失速させかねないだけに責任は重大だ。

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