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収益率の高い東京メトロが上場へ 課題は非鉄道事業の育成

財界オンライン / 2024年10月20日 11時30分

課題は非鉄道事業の育成だ(写真は「丸ノ内線」)

「収益率の高さは鉄道業界でも群を抜いている。経営課題と言えば、他の私鉄のように大規模な再開発ができる土地を保有しておらず、小売り・流通も規模が小さいため、〝鉄道1本足〟という経営構造からの脱却だろう」(鉄道会社幹部)。

 東京メトロが10月23日に東証プライム市場に上場する。時価総額は約6400億円と私鉄で営業キロが最長の近鉄グループホールディングス(9月末時点で6892億円)や九州を地盤とし、不動産など非鉄道事業が売上高の半分超を占めるJR九州(同6539億円)、大規模な再開発が控える東京・新宿を拠点に箱根の強化にも乗り出している小田急電鉄(同6124億円)などと並ぶ規模。

 現在、メトロ株は国が53.4%を、東京都が46.6%を保有している。今回の上場によって、国が保有する株式のうちの26.7%、都が保有する23.3%の計50%を売り出す。国は復興財源確保法に基づいて、同社株の売却収入を復興債の償還費用に充て、都はインフラ整備に充てる案などを検討中。

 鉄道業界の中でもメトロが際立つのが収益の高さ。同社の営業収益は3893億円で、経常利益は659億円(24年3月期有価証券報告書)だ。営業利益率をみると約20%。東海道新幹線を有するJR東海の30%台を除けば、私鉄は5~10%台が平均値になっている。

 都心を中心に9路線を展開しているが、延伸計画もある。有楽町線が豊洲から住吉まで、南北線は白金高輪から品川まで。両路線とも混雑緩和や鉄道空白地帯をつなぎ、輸送人員の増加も見込めるため、メトロにとっては収益強化につながる。

 ただ、同社の営業収益の約8割は鉄道事業。他の私鉄は不動産や小売り・流通、ホテルなど収益の多角化を図っているが、メトロは「ターミナル駅の再開発に地権者の1人として名を連ねている程度」(幹部)。

 遊休地を使って農園やスケートボードパークをオープンしたり、介護付き有料老人ホームを開業したりもしているが、規模は限られており、足元ではREIT組成とアセットマネジメント事業参入準備と、新領域開拓に努める。

 縁の下の力持ち的存在の同社が〝地表〟に出て、どんな事業領域を開拓するのかが注目される。

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