VWは工場閉鎖を検討など 自動車大手がEV戦略見直しへ
財界オンライン / 2024年10月30日 7時0分
米ゼネラル・モーターズ(GM)など自動車大手は電気自動車(EV)戦略の見直しを余儀なくされている。インフレの長期化や中国勢などの台頭で、米欧のEV販売は振るわない。独フォルクスワーゲン(VW)は国内工場の閉鎖を検討。コスト削減は待ったなしの状況だ。
GMは7月、米中西部ミシガン州の工場で予定していたEVピックアップトラック工場の開設時期を26年へ再延期すると明らかにした。これに伴い25年に世界のEV販売台数を100万台に増やす目標も見直す。米フォード・モーターもEV戦略を修正し、3列シートの多目的スポーツ車(SUV)の投入を中止。トヨタ自動車も北米でのEV生産を26年に延期する方針。
欧州自動車市場が伸び悩む中、VWはドイツ国内の工場閉鎖の検討を従業員に伝えた。雇用維持も危ぶまれており、関係者に激震が走った。政府はVWへの支援を検討していると表明。VWの経営戦略見直しは政府も巻き込む事態に発展した。
直近のEV販売実績では、米テスラは46万台(7―9月期)と前年同期と比べて6%増えた。3四半期ぶりにプラスに転じたが、1―9月の実績は前年同期を下回ったままだ。一方、中国大手の比亜迪(BYD)は同期間の販売台数は44万台とテスラに迫る勢い。
米欧はEV導入を政策で後押ししてきたが、台頭する中国勢を追加関税で抑え込む動きが広がっている。保護主義的な行動が横行すれば、価格が跳ね上がり、市場縮小を招きかねない。
米大統領選も不確定要素。共和党のトランプ前大統領が大統領復帰を果たせば、EV推進策の大幅な後退は避けられない。
そもそも論になるが、「国土の広い米国では充電網の整備が難しく、ロサンゼルスなど都市部でしか普及せず、ガソリン車重視の姿勢は変わらない」と、業界関係者の間では諦めムードも広がっている。
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