新ジャンル縮小の中、アサヒが「スーパードライ」などを値上げへ
財界オンライン / 2024年12月5日 19時0分
アサヒビールは来年4月からビールや酎ハイなどの酒類について、全体の44%の226品目を値上げすることを発表した。主力商品「スーパードライ」をはじめ、輸入洋酒、輸入ワイン、その他樽詰酒類、ノンアルコール飲料などが対象となる。
容量等のリニューアルはなく価格の改定のみで、包装資材を含む原材料価格の高騰に加え、輸送にかかる物流費のコスト上昇分を価格に転嫁する。家庭用と業務用どちらも値上げの対象となり、上げ幅は5~8%。
23年10月の酒税改正でビールの酒税が下がったことにより消費者のビール回帰が見られ、ビール類缶市場カテゴリー別構成比はビールが新ジャンルを上回り逆転した。記録的な猛暑であった今年の夏は、ビール大手4社の販売も好調に推移。アサヒビールの24年上半期決算では、国内売上高6301億円、事業利益563億円で、前年比6・4%で増益となった。
しかし、利益でカバーすることが困難なほど、原材料や物流費の高騰に悲鳴が上がっている。帝国データバンクのデータでは、24年1月から12月(予定を含む)の食品全体12401商品のうち、値上げ要因は、原材料高92・7%、物流費68・6%、包装・資材66・8%、エネルギー61・1%(重複回答可)で、約7割の商品はこれら4つの理由で値上げがされており、食品業界全体で悩まされていると問題と言える。
アサヒグループホールディングス会長・小路明善氏は以前より、「価値と質の経済に転換し、高付加価値循環型経済構造をつくることがデフレ脱却のまず第一歩。今年来年がその転換期」と語っており、その今年は残り2カ月に迫っている。
原料高を含めたすべてのコストアップをこなし、来春には物価高に耐えうる賃金上昇を確保しなければいけない。節約志向が続く中で、デフレ経済脱却に向け企業の値付けは正念場を迎えている。
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