日立次期社長に副社長の德永氏 創業の地・茨城県日立市生まれ
財界オンライン / 2024年12月25日 11時30分
時価総額はここ3年で3倍に
「企業価値の向上にベストを尽くし、時価総額も3年間で3倍に成長させることができた。しかし、日立のトランスフォーメーション・ジャーニーに終わりはない。さらにデジタルセントリックな企業となるべく、変革を続ける必要がある」
こう語るのは、日立製作所社長兼CEO(最高経営責任者)の小島啓二氏。
日立は2025年4月1日付で、副社長の德永俊昭氏が社長に昇格する人事を発表。社長の小島氏は副会長に昇格する。会長の東原敏昭氏が留任したため、「次期経団連会長含みの人事か」と思われたが、日本生命保険会長の筒井義信氏が次期経団連会長に内定したことで、東原氏の就任観測は打ち消された。
2009年3月期に当時の製造業で過去最大となる7873億円の最終赤字を計上した日立。以来、川村隆・中西宏明・東原・小島4氏の歴代社長が継続して構造改革を断行。IT(情報技術)とOT(制御技術)、プロダクトを組み合わせた「社会イノベーション事業」に経営資源を注力し、世界で戦うグローバル企業へ変貌を果たした。
德永氏は1967年3月、日立グループ創業の地である茨城県日立市生まれ。父が日立の工場で働いていたため、「バスやタクシーに乗るのも、住むところも病院も全てが日立グループのサービスで、わたしの生活を支えてくれた」(德永氏)。
1990年に東京大学工学部卒業後、日立へ入社。システムエンジニアなどIT・デジタル部門が長く、家電事業子会社の社長も歴任。2021年に約1兆円をかけて買収した米IT大手グローバルロジックの交渉をまとめた手腕が評価され、德永氏に白羽の矢が立ったようだ。
「責任の重さを痛感している。2009年の経営危機以降、川村さんから中西さん、そして東原さん、小島さんのお二人へと繋がれてきた経営のバトンを、今度は私自身がしっかりと受け取り、持続的な成長を実現していきたい」と語る德永氏。
巨額買収の効果をいかに発揮し、グループ 28 万人の社員を束ねながら、さらなる成長を果たすことはできるのか。同氏の手腕が問われる。
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