【2025年をどう占いますか?】答える人 東京ガス社長・笹山晋一
財界オンライン / 2025年1月6日 15時0分
脱炭素に取り組む今が「第三の創業期」
─ 2023年4月の社長就任から1年7カ月の手応えをどのように感じていますか。
笹山 就任会見では、ポートフォリオマネジメントの強化、ガス・電力に次ぐ第三の柱としてソリューションを育てること等を申し上げました。また、その後に発表した中期経営計画においては、主要な3つの取り組み「エネルギー安定供給と脱炭素化の両立」、「ソリューションの本格展開」、「変化に強いしなやかな企業体質の実現」を掲げ、これらを全力で推進しています。
一例ですが、安定供給と脱炭素の両立に関しては、23年3月に「東京ガスグループ カーボンニュートラルロードマップ2050」を発表し、エネルギー業界で最初に宣言したカーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)の実現に向け、具体的なプロセスをお示ししました。各種プロジェクトも順調に進んでおり、まだまだ先は長いですが、いいスタートは切れていると思います。
─ 日本のエネルギー自給率が13%しかない状態ですが、エネルギー確保はどう進めていくべきだと考えますか。
笹山 日本の置かれた地理的要因から、自給率を爆発的に上げていくのは正直なかなか難しいと思います。そのような中では安定調達が非常に大事です。
当社ではLNG(液化天然ガス)の調達先の多様化、契約形態も長期契約だけではなく短期や中期の契約を活用する契約の多様化、また商流の多様化に取り組んでいます。
あとは今後、DX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランスフォーメーション)などの新しい分野に進んでいくためにも、人材の多様化も大事になってくると思います。
─ キーワードは多様化ですね。
笹山 ええ。近年、脱炭素に向けた議論は盛んですが、ヨーロッパでは「アフォーダビリティー(価格面の手ごろさ)」が重要になってきています。消費者の生活や企業にとっての安定供給・経済性といった重要なものを担保しながら、持続可能な形で脱炭素社会に移行しなければならないのだと思います。
長期的にみて脱炭素という大きな流れは変わりませんが、移行が急進的すぎると、消費者や産業への影響は当然大きくなります。その辺りのバランスをとりながら進めていくことが重要と改めて認識しています。
─ この時期、笹山さんは社員に対して、どのような言葉を投げかけていますか。
笹山 当社は現在、第三の創業期にあると考えています。1885年の創業、そして、日本で初めてLNGを導入した1969年が第二の創業、そして、脱炭素に取り組む今が第三の創業期です。GXやDXに果敢に挑戦していこうということを折に触れて伝えていますね。
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