【2025年をどう占いますか?】答える人 ワーク・ライフバランス社長・小室淑恵
財界オンライン / 2025年1月7日 11時30分
人手不足を解決するための方策
新潟・サカタ製作所の事例
─ 人手不足は全産業界で共通の課題になっていますが、ワーク・ライフバランス社長の小室淑恵さんには25年に向けた生産性向上の方策についてお聞きします。
小室 2024年の大きなテーマは人手不足でしたが、これを解決するためには大きな注意点があります。それは労働時間を柔軟にして労働時間の上限を変えればいいと考えてしまうケースです。これは錯覚であり、根本的な問題は人口構造にあります。労働時間の上限を撤廃しても、無制限に働ける人自体がいなくなっているのです。
経営者も労働者も経済成長させたいという思いは一緒ですから方向を変えることが大事になります。働いている人の労働時間を伸ばすのではなく、育児中の母親や介護中の人材、シニア層といった長時間労働でなければ、まだ働ける人たちの活用です。例えば、パートで働く女性で、正社員を打診されても残業が求められるので受けない人が約290万人います。
─ それだけでも貴重な戦力になりますね。
小室 ええ。65~75歳のシニア層も約1700万人います。こういった方々は残業なしで週3~4回の勤務ならば可能です。もしこの人たちを労働市場に加えられれば、社会保障の支えられる側から支える側に居続けてもらえるということになります。ですから、むしろ社会全体で基本的な労働時間をぐっと短くできるのかどうかで、成長ができるかどうかが左右されてきます。
─ そのためには企業側の評価方法の見直しも必要です。
小室 はい。どうしても日本企業では時間外労働の多い人に高い評価がつく傾向にあります。しかし今後は違ってきます。評価される項目は時間当たり生産性に切り替わっていくでしょう。
26年の国会に向けて大きな議論になってくるのが「労働基準法改革」です。なぜ日本では長時間労働が当たり前なのかという疑問に対して様々な分析がされていますが、根幹にあるのは時間外労働をさせた経営者が得をする労基法があるからです。
日本以外の先進国では時間外割増率が1.5倍なのですが、日本だけが1.25倍。時間外割増率が1.5倍を超えると、今いる人に残業させるより、新しい人を雇用した方が企業にとって得になります。この1.5の数値を均衡割増賃金率と言います。日本もここに変更していく流れが出てくるでしょう。
─ 小室さんがコンサルした中で成果が出た事例とは。
小室 新潟県の製造業でサカタ製作所という社員約150人の会社さんでは、2年間かけて変革し、残業時間を1人1日3分にしたことで従業員の出産数が4.5倍になりました。実は小さい企業ほど経営者がこの観点に気付きさえすれば、改革も早くできると思いますね。
小林いずみ・みずほフィナンシャルグループ 取締役会議長「自分が踏み台になっても、今やるべきことをやる経営者が出てきて欲しい」
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「106万円の壁」撤廃、賛成が反対の2倍以上...生じる「働き損」はどうする? 専門家が解説「時間制約の壁」を意識して
J-CASTニュース / 2024年12月24日 18時51分
-
ドイツでは「残業がほぼない」って本当ですか?「年間休日数」はどのくらいなのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月21日 5時30分
-
友人は、ほぼ毎日「日付が変わる直前」まで残業をしているそうです。一日あたりの「残業時間」って、どのくらいが「一般的」なのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月21日 0時40分
-
2024年のHRトレンド3選、「カスハラ対策」「スキマバイト」あと1つは? 2025年の注目トピックは?
マイナビニュース / 2024年12月19日 17時10分
-
働き方改革の成果は? 社労士が目撃した「日本の労務環境の変化」
PHPオンライン衆知 / 2024年12月10日 17時0分
ランキング
-
1中居正広CM削除「ソフトバンクの判断」が正しい訳 「示談してたのに…」は企業には一切関係ない
東洋経済オンライン / 2025年1月8日 8時40分
-
2キャベツ1玉“1000円超え”も…2025年も値上げラッシュに 閉店危機の飲食店も
日テレNEWS NNN / 2025年1月7日 22時16分
-
3副業収入が300万円を超える月も…早期退職・FIREを達成した会社員から学ぶ、本業と副業を両立するための「甘くない」現実
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月8日 11時45分
-
4絶頂の転職エージェントが衰退する致命的構造 転職活動者にはおおむね好評でも気になる批判の声
東洋経済オンライン / 2025年1月8日 10時0分
-
5なぜ、最低賃金ニュースは“経営者の悲鳴”ばかり? 労働者の声が消えるオトナの事情
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月8日 6時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください