【2025年をどう占いますか?】答える人 三井物産会長・安永竜夫
財界オンライン / 2025年1月6日 11時30分
いかにミドルパワーとの連帯をつくっていくか
─ 三井物産会長の安永竜夫さん、25年1月から米国トランプ政権が誕生するわけですが、日本はどう向き合うべきだと考えますか。
安永 トランプ氏は自国第一主義を掲げていますが、米国のサプライチェ―ンを見ても、米国一国だけではビジネスは成り立っていませんし、海外との連携の中で成り立っているわけです。これまでのグローバリゼーションの中で最大の恩恵を受けてきたのは米国ですから、自国第一主義になったら米国がその反動を受けることは間違いありません。
ただ、私は米国のプラグマティズム(実用主義)やダイナミズムを信じているので、最後は現実解に戻ってくるのではないかと思います。その際、トランプ氏は米国にとって有利であり、諸外国にとっても受け入れられるような条件に落とし込んでいくのだと思うので、そこは各国の外交努力、政治の交渉力が問われてくると思います。
その中で、日本は金融を除いた産業別投資において、5年連続で国別の対米投資が1位です。それだけ米国内で雇用を創出し、税収を生み出しているわけですから、日本企業の投資がどれだけ米国の経済効果を生んでいるのかについて、きちんと説明していく必要があると思います。
─ こうした不透明な時代になると、商社の役割が今まで以上に問われてきますね。
安永 商社にとっても米国は最大の投資国であり、これまで培ってきた米国企業との強いパートナーシップをいかに第3国で展開していくかというのは大事なことで、政権が変わってもより強固なものにしていかなければならないと考えています。
日本にとっては経済だけではなく、安全保障や政治、外交、多国間での取組など、その全てにおいて、米国との連携を強化していく必要があります。ただ、それだけでは十分ではない。
人口増大のみならず、資源・エネルギーや食糧が豊富で、今後国際的な地位向上も見込まれていることから、日本の経済発展や経済強靱化の為には、グローバルサウス(新興国)各国との連携をより強固なものにしていく必要があります。
特に日本は大国ではなく、ミドルパワーでしかないわけですから、人材交流等、いかにミドルパワーとの連帯をつくっていくかが大事であり、アジアや南米、欧州を含めて、開かれた投資・貿易体制の維持・拡大を強調していくことが必要だと思います。
─ それが日本の役割であると。
安永 ええ。今までは先進国が発展途上国を支援するという構図でしたが、今や日本とグローバルサウスの関係は対等と考えるべきです。その中で、いかにわれわれがウィン・ウィンの関係をつくっていけるかが重要だと考えています。
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