【著者に聞く】『この一冊でわかる 世界経済の新常識2025』大和総研副理事長・熊谷亮丸
財界オンライン / 2025年1月23日 18時0分
日本が目指すべきことは〝賃上げと設備投資の好循環〟
『この一冊でわかる 世界経済』シリーズは10年目を迎えた。今回も大和総研の選りすぐりのエコノミストたちが、世界経済の今を分かりやすく解説し、2025年の経済を展望した。
国内需要はまずまずしっかりしており、日本経済は2025年も緩やかな拡大を続けるだろう。問題は海外で、米トランプ政権の政策がどうなるか? 中国の過剰債務問題や不動産市況はどうなるのか? 欧州も主要国の成長率が低く、海外の下振れリスクを警戒しなくてはならない。本書をきっかけに世界の動きに高いアンテナを張っていただくことで、読者の皆様のビジネスや資産運用のお役に立てればと思っている。
道半ばではあったものの、岸田文雄政権の経済政策は一定の成果をあげた。名目GDP(国内総生産)は600兆円を超え、2024年の春闘では33年ぶりの賃上げ率を達成。株価も大きく上昇した。
ここ30年程度にわたり、日本はリストラを中心とした縮小均衡型の経済であった。しかし、今は付加価値を高め、新たな成長型経済へと移行するという歴史的な転換点にある。
これまでは〝賃上げと物価上昇の好循環〟がキーワードであったが、これからはさらに一歩前進して〝賃上げと設備投資の好循環〟を目指すべきである。
日本の最大の問題は、現状維持バイアスが強すぎることと、政治で言えば、選挙が多すぎることだ。選挙が多いと目先の対策ばかりに気をとられてしまい、中長期的な視点から重要な構造改革や産業の新陳代謝などがなおざりになる。
わたしは制度や仕組みの問題はあるものの、経済人一人ひとりが自分の会社の中などで事業の新陳代謝を図っていくことが大事だと思っている。過去の慣習にとらわれず、各人が日々新たなことにチャレンジし、それが重なってくることで国全体の大きなうねりにつながってくる。本書が読者の皆様にとって、新たな行動変容を促すきっかけになれば幸いである。
【倉本聰・富良野風話:最終回】老いる
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