数量を追ってすれ違い 日本郵便がヤマトを提訴
財界オンライン / 2025年1月31日 7時0分
「どうしても数量を追ってしまう風土がある」─。物流業界に詳しい関係者こう語る。
〝歴史的な提携〟とも言われたヤマト運輸の親会社であるヤマトホールディングス(HD)と日本郵便との協業の行方が混沌としてきた。両社は薄型荷物などの配達で協業していたが、日本郵便がヤマト運輸を提訴。120億円の損害賠償を求めた。
両社は23年6月にポストに投函できるメール便や小型薄物荷物をヤマトから日本郵便に移管し、25年2月までに荷物の全量を日本郵便の配達網で届けることとしていた。しかし、ヤマトが委託によって自前で配達するより配達日数が伸びているとして24年10月に計画の見直しを申し入れ。11月には一定期間の委託の停止を提案していた。
だが、日本郵便側は「送達速度の違いについては両社で合意済み」として反発。荷物の受託に向けた設備投資や得られるはずだった利益に対して損害賠償を求めることになった。対してヤマトは「適切に対応したい」とコメント。「引き続き協業は継続していく」(同)としている。
冒頭の関係者によれば、両社の協業が破断すれば、互いに影響が及ぶと指摘する。日本郵便にとってはヤマトの荷物を取り込むことによって赤字が続く郵便・物流事業(24年3月期は686億円の営業赤字)の収益改善を図る狙いだった。ただでさえ、メールやSNSの普及で郵便物の減少は著しく、この10年間で3割近く減っている。
一方のヤマトにとっても減益決算が続いており、収益改善が課題。先にヤマトから日本郵便に完全移行されたメール便では、ヤマトの荷物を日本郵便側の仕様に合わせることで、ヤマトが受けられない荷物が増加し、顧客の日本郵便への切り替えが進んだ。その数が「想定を上回る規模」(関係者)だったようだ。
また、両社のすれ違いも起きていた。24年8月にヤマトが日本郵便の「レターパックライト」と類似するサービス「こねこ便420」を発売。ポストに投函できる上に日本郵便よりも10円安い全国一律420円で送れる商品だが、日本郵便と協議して発売したものではなかった。
「物流の2024年問題」という共通の課題を乗り越えるためというのが協業の〝大義〟。その大義を両社が見つめ直せるかがポイントになりそうだ。
【新しい成長を遂げる!巳年生まれの企業トップたち】ロイヤルホールディングス会長 菊地唯夫さん
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