Criacao(クリアソン)社長CEO・丸山和大が語る「東京23区のど真ん中にある『サッカーチーム』の地域創生」
財界オンライン / 2025年1月28日 18時0分
スポーツこそまちを盛り上げるカギになる─。当社はJFL(日本フットボールリーグ)に所属するチーム「クリアソン新宿」を運営しています。このサッカーチームを東京・新宿という地域のハブにしたいと考え、地域と一緒に行動しています。
新宿と聞くと、1日の乗降客数が350万人を超えるターミナル駅を中心に、駅隣接の百貨店が軒を連ね、東口には日本屈指の歓楽街・歌舞伎町があり、西口には日本を代表する企業が本社を置くオフィス街が広がっている印象が強いでしょう。ただ、それだけではありません。個人商店や地域のお祭り、新宿2丁目のようなローカルで多様な文化もあります。
Jリーグの空白地で東京23区内のど真ん中にあるクリアソン新宿の特徴は地域密着です。区内の商店街などと連携した取り組みは枚挙に暇がありません。地域活動は年間300回を超えています。様々なイベントで選手が企画をしたり、運営を手伝ったりして、新宿のまちの方々と関わっています。
公共財とも言えるスポーツは企業活動や地域活動との親和性が非常に高く、中でもサッカーは多様性のチームスポーツでもあります。そのため、多様性に富む新宿の地域住民や企業ともコラボレーションがしやすいという長所があります。当社のパートナーにはその点を評価してもらって、例えば百貨店がわかりやすいですが、本来はライバルの同業他社がその垣根を超えてクリアソンを応援するために名を連ねているほどです。
社会課題解決を目指した具体的な活動には子供向けのサッカー教室や高齢者の健康づくりに貢献するためのサッカーボウリング大会、外国人留学生向けのフットサル交流会、試合会場のイベントスペースを新宿の学生に提供して日頃の学業の成果を発表してもらうなどがあります。そうした活動は我々だけで行うのではなく、地域住民や企業に協賛や人材派遣という形で連携、協力してもらっています。
お陰様で当社とパートナーシップを結んでいる企業数は当社の大きなビジネスパートナーでもある不動産投資のアセットリードをはじめ、200社以上。これは2013年の会社設立以降、徐々に信頼を積み重ねてきた成果だと自負しています。当社と手を組めば地域の人々とつながることができる。これが大きな動機になっているようです。
24年を振り返ると、やはり一番嬉しかったことは、国立競技場で行った試合の観客数が平日夜にもかかわらず、1万6480人とJFL史上最多を達成したこと。それまでは22年の三浦知良さんが相手チームにいた1万6218人が最多でしたので、それだけ地域の方々の応援の輪が広がってきたと実感しています。
私はもともと高校時代にプロサッカー選手を目指していたのですが、力が足りませんでした。しかし、大学時代に入ったサッカーサークルで、サッカーの上手さだけでなく、いろいろな価値観が認められる環境を目の当たりにし、「もっとサッカーの可能性を広げたい」と思ったことがスポーツで起業することにつながった原体験です。伊藤忠商事時代に経営トップの方々と対話することで、経営者としての考え方も学ぶことができました。
新宿にはこれから先、日本や世界が経験する社会課題が集積しています。この場所でスポーツを生かしてまちを盛り上げることができれば、そのモデルは全国各地に広がり、社会をより豊かにできるはずです。そうした事例がつくれるように頑張っていきたいと思います。
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