【株価はどう動く?】トランプ大統領就任で日米の株価は上に向かうか、下に向かうか
財界オンライン / 2025年1月31日 19時0分
引き続き日本の株価の上値が重い理由
2025年に入ってからも、引き続き日経平均株価は一進一退の動きが続いています。その理由は以前から指摘しているように、第一に石破政権の不安定感です。安倍政権の「アベノミクス」のような政策の柱がなく、むしろ左寄りと見られるようなスタンスだと見られ、株式市場からは不安視されています。
第二に為替が円高となる懸念です。23年の初めから、円安・脱デフレでバリュー株の底上げ相場、資産インフレ相場が始まり、23年4月から24年3月まで株価が上昇しましたが、この大きな要因は円安でした。これが円高となると株価にはブレーキがかかります。
1月中旬現在は156円〜157円と円安で推移しています。24年8月のように円が急騰し、1ドル140円台を付けるといった展開にはなっていません。
しかし今、日本銀行が利上げの方向で動いていますから、その時には円が急騰するのではないかという不安がつきまとっています。これも日本株が弱い要因となっています。
第三に米国株の動向です。米国株は歴史的高値圏にあります。特に24年後半から米国株が上昇したのは、FRB(米連邦準備制度理事会)がついに利上げをストップして利下げに動いたからです。
これによって「マグニフィセント・セブン」(米株式市場を代表するテクノロジー企業7社のこと。アルファベット=グーグルの親会社、アップル、メタ=旧フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト、テスラ、エヌビディア)を中心に、株価の上昇が続きました。
しかしここに来て、FRBの利下げはもうないのではないか、あるいは年4回と言われていたものが年2回になるのではないかという下方修正の見方が広がっています。利下げを織り込んだ相場が終わったということです。
これは昨年から私が予想した通りの動きです。米国の金利高止まりとインフレの再燃は、米国の株安要因ですが、日本株が上がらない要因でもあります。米国株は高値圏で不安定な動きになっているのです。
それぞれの要因を改めて見ると、石破政権は当初思われたよりも「低位安定」となっています。支持率も低いですが「嵐の前の静けさ」とも言うべき状況です。日本の株式市場は石破政権の不安定感を織り込んできたと言えます。
日銀の利上げによる円高懸念は、まだ残っています。本誌発売前には1月の金融政策決定会合が終わっており、ここでどういう判断になるかはわかりませんが、いずれにせよ早めに利上げをして、円高となって株価が下がれば、そこが25年最初の買い場となります。
ただ、日銀の植田和男総裁は24年8月の利上げの際、日経平均が4400円安と大暴落をしたこともあり、相当慎重になっていると思います。利上げで再び株価が暴落となれば〝戦犯〟とされるのは確実だからです。利上げしないとなると円高要因が残り続けますから、どうしても株価の上値は重くなります。
米国株の動向はどうかというと、24年12月4日に4万5073ドルという高値を付けています。どうやら24年11月11日の4万4486ドルが一番天井、12月4日が二番天井の形になっています。今や下落調整局面が続いていると言えます。この調整がいつ終わるのか、値幅、価格でどこまで下げたら終わるのかを試している局面です。
株価の水準で言うと、今回の米国株上昇の短期波動の出発点は24年8月5日の3万8499ドルです。12月4日に4万5073ドルで天井を付けたわけですが、この上げ幅が6574ドルです。
攻防の分岐点である半値押しがどこかというと4万1647ドル、つまり4万2000ドル割れで下げ止まらなければ厳しい下げになるということです。
24年11月4日に4万1647ドルという安値を付けていますが、ここを下回ると信号は黄色から赤に変わると見ていましたが、25年1月13日に4万1844ドルまで下げています。ここが二番底になるようであれば、あとは日柄調整だけということになります。「3月またがり60日」の波動で見ると早ければ2月4日にも相場の転機が訪れる可能性があります。
今後を占う上で重要なのは1月20日就任のドナルド・トランプ大統領のメッセージ、政策です。これによって米国株が上がるのか下がるのか、ドル高になるのかドル安になるのか、当面の相場の行方を決めることになると思います。
日柄から見ると、日本株は24年3月22日に一番天井、7月11日に二番天井を付けて下落調整局面が続いています。7月11日からおよそ半年後が1月23日です。トランプ大統領就任直後ですから、ここが転機となって今の3万5000円、4万円というボックスから上に放れる可能性があります。
トランプ大統領の就任で、地政学リスクはさらに高まるものと見ています。まさに動乱の時代が始まっています。22年2月にロシアがウクライナに侵攻した時からの歴史的な動きです。5年、10年の単位で続くことになるでしょう。
トランプ大統領は外交で解決しようとはすると思いますが、最悪のケースでは米軍とロシア軍の衝突もあり得ます。しかも、これまでロシアが軍備拡張を進めた一方、バイデン政権下での米国では停滞していました。今後は中国も含め、新たな軍拡競争時代に入ると見ています。
こうしたリスクの大きい、動乱の時代だからこそ、一部の国の株価は上がります。より安全な国ということで日本への注目は高まるでしょう。
ただし、かつての冷戦期と違い、日本の立場は楽観視できるものではありません。ロシアの標的になってもおかしくないわけです。三菱重工業(東証PRM 7011)など防衛関連が上がっているのはその反映です。戦後、戦争、紛争に巻き込まれなかった日本ですが、「平和はタダではない」時代に入ったことが認識されることになるでしょう。
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