【トヨタがCO2ゼロを前倒し】一般家庭200万世帯分のCO2を排出する工場の脱炭素化にも本腰
財界オンライン / 2021年7月3日 18時0分
トヨタ自動車が生産現場での脱炭素でも本気度を見せ始めた。同社は全世界の工場でのCO2排出量の実質ゼロ目標を、これまでの2050年から35年に前倒しすることを決めた。
執行役員の岡田政道氏は「カーボンニュートラルは生産工程においても達成していくのが当然」と強調する。19年のトヨタのグローバルでの工場のCO2排出量は約568万㌧。クルマの原材料の調達から生産、使用、廃棄までの全体で見れば2%に満たない。それでも一般家庭約200万世帯分に相当するだけに、「CO2を極限まで減らし、なくす技術を開発し、カーボンニュートラルまでの期間を短く
する」と岡田氏は強調する。
具体的にはCO2発生量の多い塗装・鋳造の工程を主眼に置く。例えば、塗装では静電気と回転を組み合わせて最少の塗料で最大の塗布効率を実現して電力を抑える。「プレス成形と塗装を金型の中で完結してしまう」(同)という技術開発も進める。また、部品などの運搬ではモーターなどを使わず、重力を利用した仕組み「からくり」を使う。
ただ、海外の高級車メーカーは一歩先を行く。独フォルクスワーゲンは「VW」ブランドで25年までに生産時の1台当たりCO2排出
量を15年比で半減させる目標を掲げる。傘下のポルシェは独国内の工場で既に排出量実質ゼロを達成済み。また、独BMWも21年中に全工場で排出量を実質ゼロにする。
強みとするカイゼン活動と設備更新等でCO2の排出削減に臨むトヨタ。脱炭素の取り組みが投資家に評価されて時価総額は32・9兆円まで上昇したが、テスラは60兆円と先を行く。トヨタがクルマの電動化の世界的な潮流をつくれるか。脱炭素も含め、同社の課題は多い。
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