【「すき家」のゼンショーHD】2030年まで毎年賃上げで労使と合意
財界オンライン / 2021年7月5日 18時0分
牛丼店「すき家」などを展開するゼンショーホールディングス(HD)が基本給の底上げを示すベースアップ(ベア)を2030年春闘まで長期にわたって実施することで労使合意した。
発案は会長兼社長の小川賢太郎氏。かねてより小川氏は日本のGDP(国内総生産)のうちの約7割を占める流通・サービス産業の底上げが日本経済の再生に不可欠と強調してきた。「10年単位で賃金が上昇する環境を示すことで、将来不安も和らぎ、可処分所得を消費に回すこともできる」(同社関係者)
同社はコロナ禍の21年の春季労使交渉でも1500円のベアで妥結。定期昇給分も含めた毎年の賃上げ率も2%程度とし、業績悪化による一時解雇をしないことも盛り込んだ。
また、小川氏の持論の1つが「人材の行かない業界は衰退する」ということ。今回の取り組みは優秀な人材を外食業界に一人でも多くつなぎ止めるという狙いもあり、「長期雇用の面でも貢献したい」(前出関係者)考え。
ただ、長期のベアを実施するためには原資が必要。直近の業績では、吉野家HDと松屋HDが営業赤字に陥る中、ゼンショーHDは120億円の営業黒字を達成している。コロナの影響を受ける都市部より郊外に店舗が多いことに加え、電子レンジで加熱できるカレーや牛丼とおかずを1つの容器に詰め込んだ商品など「高まるテイクアウトニーズに主眼を置いた新商品の投入」(同)が奏功している。
売上高6000億円規模の外食大手の動きがどのくらい波及するか注目される。
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