【経産省】東芝問題で早期の幕引き狙うも説明不足と批判続出
財界オンライン / 2021年7月13日 18時0分
東芝と経済産業省が連携して昨年7月の株主総会で海外の「物言う株主」の議決権行使に影響を与えたとされる問題で、必要以上の説明を避けることで早期の幕引きを狙う経産省の姿勢が鮮明となっている。政府による経営介入の疑念が拭えないほか、同省が推進してきたコーポレートガバナンス(企業統治)との整合性も問われかない。説明不足に対する投資家らの不満は強まる一方だ。
政府は原子力や量子暗号など、安全保障にかかわる技術を持つ東芝を、外国からの出資を制限する外為法の対象としている。東芝の外部弁護士が6月10日に発表した報告書は、経産省の課長らが昨年7月の同社株主総会で、外為法の権限を背景に一部株主が議決権を行使しないよう圧力を掛けていたと認定。その上で総会が「公正に運営されたとは言えない」と断じた。
これに対し、梶山弘志経済産業相はその後の記者会見で、東芝は「日本にとって重要な企業」であり、経営陣の交代や利益の還元といった一部株主の要求を受け入れ続ければ経営の安定が脅かされる懸念があると強調。政府が同社に一定程度関与するのは「当然のこと」だと反論した。報告書に挙げられた問題行為については「事実に反することがある」と疑問視する一方で、同省独自の調査の必要性は一貫して否定している。
同省幹部は「外為法の趣旨に照らして問題のある行為はない。騒ぎはすぐに収まるだろう」と楽観するが、市場関係者らが納得する気配はない。
民間エコノミストの一人は、この問題が経済安全保障や企業統治の在り方に関する議論を深める機会になると指摘した上で「今のままでは情報が足りない。経産省はもっと説明を尽くすべきだ」と訴える。企業統治の専門家は「日本の資本市場の信頼性が海外に受け入れられる段階に来たのに、経産省が台無しにした」と批判した。
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