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【厚労省】「こども庁」創設へ 政府の「骨太の方針」に明記

財界オンライン / 2021年7月16日 11時30分

政府の経済財政運営の基本指針「骨太の方針」に、子育て施策の司令塔となる「こども庁」の創設が盛り込まれた。3府省にまたがる予算や法令を調整する同庁の組織づくりに向け、政府は今後検討を加速させるが、懸案だった保育所と幼稚園の一元化に踏み込むのを避けるなど、子ども施策の抜本強化につながるかは不透明だ。

 骨太には、子どもに関する課題の総合的な対応に向けて「省庁間の縦割りを排し、行政組織を創設するため、早急に検討に着手する」と記された。

 現在の子ども施策のうち、虐待や貧困対策などの福祉行政は厚生労働省、教育行政は文部科学省の所管で、内閣府も絡む。現金給付一つ取っても、児童扶養手当は厚労省、就学援助は文科省、児童手当は内閣府と別々。厚労省幹部は「どこかに権限を一本化できれば」と話し、文科省幹部も学校での虐待の兆候発見など「うちでフォローし切れない部分をこども庁が担うなら意義がある」と語る。

 一方、長年の課題である厚労省所管の保育所と文科省所管の幼稚園の一元化については明記されなかった。両施設をめぐっては、幼稚園を教育機関と考える園関係者が、児童福祉施設である保育所との統合に難色を示すなど利害調整が難しい。2015年度に両施設の特性を併せ持つ内閣府所管の「幼保連携型認定こども園」が生まれたが、施設が3種類に増えて統合されず、自治体への通知も3府省からそれぞれ出ている。

 財源確保も課題だ。17年度の国内総生産(GDP)に占める子育て関連予算の比率は、英国の3・5%、フランスの2・9%に対し、日本は1・6%と低い。

 政府は7月にも、官房長官をトップとするこども庁の準備室を設置する方針。ただ、同庁の所管範囲や業務内容は曖昧で、省内からは「中身が詰まっていない」と困惑の声も出ている。

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