みそに次ぐ新たな事業とは?【ハナマルキ・花岡俊夫社長】
財界オンライン / 2021年7月17日 11時30分
1951年長野県生まれ。74年ハナマルキ味噌(現ハナマルキ)入社、84年常務製造本部長、87年専務営業本部長などを経て、88年より社長。96年長野県味噌工業協同組合連合会副理事長。2007年全国味噌工業協同組合連合会副会長。
「肉・魚の下味から煮物・炒め物などの味付け、そして大豆ミート特有の香りを抑えるマスキング効果(別の臭いで覆い隠す効果)など、〝液体塩こうじ〟を万能調味料として、みそに続く新たな柱に育てたい」
創業103年を迎える長野県発祥のみそ・醸造製品メーカー。同社が2012年独自開発した液体塩こうじは「粒がないことによって混ぜやすく、食材に浸透しやすい」。日本をはじめ、米国や欧州、東南アジアなどでも採用が始まっており、20年の売上高はみそと加工食品が苦戦したが、塩こうじは13%増だ。
コロナ禍で「健康と簡便性を求めるニーズは総じて増えている」と分析。実際、無添加みそや即席みそが伸びている。加えて、家庭用も業務用も伸びているのが塩こうじだ。特に液体塩こうじは「価格競争が当たり前の食品業界の中で、適正な利益を確保するためのオリジナリティのある商品」と位置付ける。
例えば、液体塩こうじは、おにぎりへの採用事例があるが、もち麦と白米を混ぜても食感を失わないようにするために使用。「味や香りを出さずに他の素材を持ち上げる役割を担う」ため、表には出ない黒子の存在だ。
開発のきっかけは「消費者の声」。従来の粒タイプの塩こうじでは焼き過ぎると焦げたり、米粒が残るなど不満の声があったが、どこも挑戦していなかった。そんな折、酒造メーカーの工場を訪れた際に、もろみを圧搾して酒をつくる過程を見て「これを麹でやってみよう」と思い付く。更に微生物を除去するための製法を模索していたところ、生ビールを醸造するときに濾過する仕組みを取り入れた。
「大学時代にウイスキーや焼酎、しょうゆ、日本酒など醸造製品の工場を見学して回ったことで広い視野を持つことができた」
まずは独自メディア「ハナマルキTV」で液体塩こうじを使ったレシピなどを発信。デザートにも使えるなど、汎用性が高い長所を訴え、国内に加え、海外輸出も進めていく。
趣味は1週間に1回のゴルフ。「カートで移動せず、全コースを歩いている」と朗らかに笑う。
海外市場で成長狙う【セブン】の野望 米コンビニ買収がやっと承認
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