【三菱電機】杉山社長が辞任 なぜ不適切検査が何度も相次ぐのか?
財界オンライン / 2021年7月21日 7時0分
「社長の任にあり続けることが全てのステークホルダーの皆様からご理解を得られるのかどうか、わたしも何度も自問した。社長の職を辞し、新たな体制で信頼回復に取り組んでいくことが必要との判断に至った」
三菱電機社長の杉山武史氏はこう語り、同社で不適切検査が相次いでいることの責任をとって辞任することを表明した。
今回発覚したのは、長崎製作所(長崎県時津町)で製造していた鉄道車両用の空調装置。冷房の消費電力試験で異なる温度や湿度による試験を実施するなど、1980年代から30年以上に渡り、空調機の安全性や性能に関して、実際に検査していないにも関わらず、8万4600台の空調装置を出荷していた。
三菱電機が品質検査データを改ざんしたのは、今回が初めてではない。2018年以降だけでも、ゴム部品の製造子会社がグループの品質基準検査をしないまま製品を出荷したり、パワー半導体の品質検査で顧客と取り交わした基準でない検査のまま製品を出荷していた問題なども明るみになっている。
同社ではこうした問題が起こる度に再発防止策を公表し、対応に当たってきた。しかし、ここまで品質不正問題が相次ぐと、再発防止策が機能したとはとても言えない。一部では事業部の独立性の高さを問題視する声もあり、「工場や事業部が違えば、隣の社員が何をやっているかなど誰も把握できていない」(グループ関係者)という声も出ている。
また、新入社員の自殺や長時間労働による過労自殺が相次いでいることとの関連性を指摘する声もある。実際、杉山氏も「課題や問題が発生した時に、上司と部下、同僚、周囲の者との情報共有がうまくできなかった。これは労務問題、今回の品質問題で通じる部分があり、根っこの部分では同じものがある」と話しており、同社は抜本的な体質改善が不可欠だ。
今年2月に創立100周年を迎えた三菱電機だが、今回露呈したのは”三菱ブランド”に胡坐をかいた当事者意識の無さ。組織的な不正を長年続けてきた現場の劣化、そして現場を把握できなかったトップ双方の責任が問われている。
ガバナンス問題の第一人者・久保利英明弁護士が語る「コロナ禍のガバナンス」
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
認証不正問題、本当に悪いのは国交省とトヨタのどちらなのか…欧米で使われる「アンフェア」の本当の意味
プレジデントオンライン / 2024年6月21日 16時15分
-
トヨタ株主総会、佐藤社長が陳謝、再任の豊田会長「喜んで“院政”を」[新聞ウォッチ]
レスポンス / 2024年6月19日 8時45分
-
大河原克行のNewsInsight 第295回 中期経営計画を下方修正した三菱電機、事業成長へ投資分野を見極める内訳
マイナビニュース / 2024年6月10日 16時59分
-
ヤマハ「YZF-R1」などの型式指定申請時の「不適切」とは何だったのか? 国交省は何を検査しているのか
バイクのニュース / 2024年6月7日 14時10分
-
三菱電機・漆間社長「アイシンと組むのがEV事業の収益回復の近道」[新聞ウォッチ]
レスポンス / 2024年5月30日 8時46分
ランキング
-
1スーパーで無料提供されている「割りばし」を大量に持って帰るのはあり?無料とはいえマナー違反になる…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年6月26日 2時10分
-
2売上2兆円、ドン・キホーテ創業者が「日本経済を決定的にダメにした」と断言する“A級戦犯”とは?
文春オンライン / 2024年6月26日 6時0分
-
3談合問題で揺れる…中部電力の株主総会で勝野会長らが株主に謝罪 コンプラ遵守など再発防止に取り組むと説明
東海テレビ / 2024年6月26日 17時45分
-
4日経平均は3日続伸、半導体関連が押し上げ 約2か月半ぶり高値
ロイター / 2024年6月26日 15時43分
-
5新NISAで人気の「NTT株」が5月から急落した深層 個人株主は急増も、海外投資家と思惑のズレ?
東洋経済オンライン / 2024年6月26日 8時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください