『ENEOS』が仏企業と連携で洋上風力発電の開発に着手
財界オンライン / 2021年7月21日 11時30分
ENEOSが、仏BW Ideol社と日本国内で浮体式洋上風力発電の共同開発に乗り出すことが分かった。世界的に再生可能エネルギーの開発が相次ぐ中、日本で遅れていた洋上風力の開発に注目が集まっている。
BW Ideolは、世界各国で浮体式洋上風力発電の開発を手掛けるエンジニアリング企業。浮体の中央をドーナツ形に空洞にすることで洋上での浮体の揺れを抑制する『ダンピングプール』と呼ばれる特許技術を持っており、製造や設置にかかるコストで優位性がある。今後は早期の商用化実現に向けて、具体的な候補エリアの選定などを行っていく方針だ。
洋上風力は発電時に二酸化炭素(CO2)を出さないことから環境に優しいエネルギー源として期待される。環境意識が高い欧州で活用が広がっているが、日本は遠浅の海域が乏しいことなどを背景に取り組みが遅れていた。
また、洋上風力には風車を海底に固定する「着床式」と土台を海面に浮かばせる「浮体式」がある。着床式は現在主流だが、底が深い海域では設置が難しい。反対に浮体式は水深にかかわらず設置できるが、安定性や発電規模の面で課題がある。
日本周辺には、着床式に適した遠浅の海域が少ない。このため、「風車自体を海洋に浮かせる浮体式は、支柱を海底に埋設する着床式に比べて約3倍のポテンシャルを持つと推定されている」(ENEOS)という。
ENEOSはすでに台湾や秋田県での洋上風力への参画を表明しており、今年6月には国が洋上風力発電を行う企業を公募して選定する「再エネ海域利用法」に基づいて、長崎県五島列島沖での浮体式洋上風力発電事業者に初めて選ばれた。
石油元売り最大手の同社だが、近年、洋上風力などの再エネ開発を進めるのは、少子化やエコカーの普及で、石油の市場が縮小することが予想されるから。
2040年には石油の国内需要が半減するとの予想もある中で、石油頼みの事業構造ではいずれ限界がくるのは必至。ENEOSが再エネの開発を進める背景には、こうした背景や危機感があるのだろう。
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