【国土交通省】政府保有機に初めて国産バイオ燃料『ミドリムシ』を搭載
財界オンライン / 2021年7月23日 11時30分
政府が保有する航空機に国産のバイオジェット燃料が初めて搭載された。原料は、ミドリムシと廃食油。製造量が少なく価格はジェット燃料の100倍弱だが、カーボンニュートラルに向けては、こうした燃料の普及が切り札となる。「飛び恥」と揶揄されるほど航空機の排出する二酸化炭素(CO2)は多く、急務となる脱炭素化に官民を挙げて取り組みを加速させる考えだ。
ユーグレナの悲願 バイオジェット燃料がついに完成
国土交通省の飛行検査機が6月4日、ユーグレナが製造したミドリムシ由来の燃料を使用し、羽田空港から中部国際空港へ飛行した。石油などの化石燃料に混ぜて使うもので、燃焼によりCO2自体は排出する。ただ、ミドリムシや廃食油の元になる植物が光合成でCO2を吸収することから実質的な排出削減につながる。国交省は航空機の運航で生じるCO2削減に向けたロードマップを年内に策定する計画。ミドリムシ由来の燃料をはじめとする「持続可能な航空燃料(SAF)」の普及を柱の一つに掲げた。
国交省の試算では、2019年の排出水準を超えないという国際目標達成のため、30年に必要なSAFは約250万~560万㌔㍑。ユーグレナの製造量は年間125㌔㍑とまだまだ少ない。25年をめどに商用プラントを製造して生産能力を2000倍超引き上げ、価格も既存燃料の水準まで下げる計画で、丸紅なども廃プラスチック原料の国産SAFの25年の商用化を目指している。
国内でも開発や航空機への搭載が進み始めたSAFだが、世界を見ればその遅れは際立つ。6月末時点でバイオジェット燃料が搭載されたフライト数は、国内が5回なのに対し、海外は欧米を中心に30万回以上。「何周も遅れているが、とにかく一歩でも進めないと差が開くばかり」(国交省関係者)と、飛び恥の払拭に向け待ったなしだ。
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