【外務省】国家安全保障局局長に秋葉氏 省出身者が2年ぶりポスト
財界オンライン / 2021年7月28日 11時30分
政府は7月6日の閣議で、外交・防衛政策の司令塔となる国家安全保障局(NSS)の局長に、同省の秋葉剛男前事務次官を充てる人事を決めた。これまでは警察庁出身の北村滋氏が局長を務めていただけに、外務省にとっては、初代局長で元同省事務次官の谷内正太郎氏以来、約2年ぶりにポストを奪還したといえる。
秋葉氏の後任となる事務次官には、森健良前外務審議官が昇格した。関係者によると、NSS局長と次官人事の双方とも、菅義偉首相が外務省の進言をそのまま受け入れたという。省内では「ようやく外交の根幹部分で、外務省が本来の仕事ができる体制に戻りつつある」(幹部)と喜ぶ声が広がっている。
安倍晋三前首相の時代は、経済産業省出身の今井尚哉元首相補佐官や北村氏ら、安倍氏と個人的に近い「官邸官僚」が外交に口を挟むケースが目立っていた。中国の巨大経済圏構想「一帯一路」を巡っては、「日本も協力すべきだ」と唱える今井氏と慎重な姿勢だった谷内氏が衝突。結局、谷内氏が局長を辞任し、安倍氏は「非外務系」の北村氏を後釜としたこともあった。
最近の菅首相の外交路線は、外務省の敷いたレールにそのまま乗るケースが目立つ。首相は官房長官時代に秘書官として登用した市川恵一北米局長にも信頼を寄せているようで、別の同省幹部は「4月の訪米では、バイデン米大統領との首脳会談で、市川氏が用意したシナリオ通りに動いた」とも打ち明ける。
ようやく意中のポストを手に入れた外務省。比較的中国への配慮が目立っていた前政権時代から、日米同盟を基軸に、価値観を共有する自由主義陣営で対中包囲網を築くという基本路線の再構築を徹底したいようだ。
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