日銀の脱炭素優遇策に対し 地銀から警戒や戸惑いの声も
財界オンライン / 2021年8月10日 7時0分
日本銀行が企業に温暖化対策を促す新たな資金供給オペを年内に導入する。脱炭素化に取り組む企業に投融資を行う金融機関に対して金利0%で長期の資金を供給するのが柱だ。
総裁の黒田東彦氏は7月16日の会見で「(日銀の資金供給オペが)一つのテコになり対応が広がることを期待する」と、脱炭素の投融資活発化に向けた「呼び水」となる意義を強調。2050年までの温室効果ガス排出量の実質ゼロを掲げる菅義偉政権に対する配慮や、マイナス金利政策に伴う金融機関の経営への悪影響を緩和したい思惑もうかがえる。
これまで黒田氏は従来の政策にない「異次元」の金融政策を打ってきた。ただ、市場では「日銀の政策に温暖化対策が入るとは。中央銀行の矩を超えて政策金融に踏み込むもの。世の中のマネーの流れを左右する金融政策の中立性を損ない、経済の資金配分に歪みをもたらしかねない」(証券アナリスト)との懸念も出ている。
さらに、再生可能エネルギーを巡っては儲けが目当ての悪徳業者も跋扈しているのが実情で、地銀などが新たなオペの対象をどう選別していくかは難題。
目利き力に不安のある地銀からは「悪質な太陽光発電事業者やグリーンウォッシュ(見せかけの気候変動対策)のようなプロジェクト向け投融資で日銀から優遇オペを受けて、後から非難されたり、ペナルティを受けたりすれば目も当てられない」(関東地方の地銀首脳)と警戒する声が噴出している。
脱炭素オペの実績が上がらなければ、官邸から対応強化を求める圧力が掛かることも予想される。その場合、日銀はオペの金利を0%ではなく、プラスに引き上げることになりそうだが、そうなれば事実上、補助金を与えることになり、金融政策や資金供給の中立性を本格的に歪めかねない。
与党内では早くも「少子高齢化対策や企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)促進でもオペができるのではないか」との声も出始めている。日銀の温暖化対策への〝進出〟は、黒田氏が広げてきた「異次元」政策の1つか。
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