【株価はどう動く?】政局の不安定化が株安の要因に 先行きを占う3つのシナリオ
財界オンライン / 2021年8月8日 7時0分
7月、8月は株価の調整局面が続く?
前回も指摘しましたが、足元の日本の株価は2月一番天井、3月二番天井という、きれいな「天井型」となっており、その後はこの時の3万円台を一度も奪回できないままです。
そして5月10日、6月15日と戻り高値を付けた後、株価の「屋根」が確実に下がっていきました。7月13日以降は完全に株価が下がり始め、予想通りの下落、調整局面となっています。
改めて、今回の相場の出発点は2020年3月19日のコロナショックの安値、1万6358円です。今年の2月、3月の高値でほぼ1年上昇したことになり、ピッタリ日柄通りに天井を打ったということです。
1年上昇した後、短い場合には2、3カ月、多くの場合は数カ月休むというのが日柄の読みですが、株価の動きから2、3カ月の休憩では終わらないということがわかります。中期の日柄で7月、8月は調整が続くという読みになります。
では、なぜ株価は休んでいるのか。第1にコロナ感染拡大が止まらず、一部地域には8月31日まで緊急事態宣言が出るまでになっていることです。期限までに、どれだけ感染が収束に向かうかですが、収束しなければさらに期限が延長される可能性があります。ですから日柄から見ても、8月いっぱいは株価の調整が続くと見ています。
では相場の転機はいつかというと、9月、10月に実施が予想されている衆議院の解散総選挙ということになります。これまでの「アベノミクス相場」の中では衆院解散は「買い」でした。告示の日取りが出てくる頃には、すでに株価が上がり始めていたのです。
今回はどうなるか。私は今まで通りの動きにはならないのではないかと見ています。なぜかというと、菅義偉首相の支持率がどんどん下落し、危険水域に差し掛かっているからです。株式市場は、菅政権は継続できないのではないか? という読みで動き始めています。
株価が下がるマクロの材料は政治の不安定、経済の低迷、国際情勢の不安です。ミクロにいうと企業業績の悪化などですが、日本で言えば、政治の不安定が材料化しており、このまま行くと政局となりそうな情勢で、さらなる株安、さらなる支持率低下が進めば、最も厳しい場合には自民党の分裂や保守新党の誕生など政界大再編もあり得ます。
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なぜなら、日本国民は今の政治に非常に否定的になっているからです。政権交代を望む声がすでに出始めています。ただ、野党の立憲民主党や国民民主党、日本共産党は自民党よりも評価が低く、受け皿とはなり得ません。ですから新党の可能性が浮上するわけです。
このまま株が弱含みで8月いっぱい、さらに下落して、例えば日経平均株価が2万円割れになるといった事態となれば、これは間違いなく政界再編になるでしょう。
ここで価格の波動から見た株価の読みですが、7月19日にはザラ場で2万7419円を付けましたが、この安値は今年最安値、5月13日の2万7385円に限りなく接近しています。値幅的には、この水準で底入れしなければ、さらなる大幅安になるというのが株価の波動です。
そこで今後の見通しですが、この水準で二番底を付けて、株価は横ばいで日柄調整に入るというのが1つ目のシナリオです。
2つ目のシナリオは5月13日の安値を下回るというものです。昨年10月30日の安値、2万2948円というのが、今回の短期波動の出発点ですが、そこから今年2月16日の3万714円まで7716円上げました。この3分の1押しが2万8000円です。7月19日の安値は3分の1押しを下回ったということです。
この水準で下げ止まらなければ半値押しの2万6800円までの下落を覚悟する展開となります。この2万6800円は昨年末の12月22日の2万6361円という安値とほぼ面合わせになります。
この水準まで下落すると、昨年10月30日の2万2948円に向かって下落する可能性があります。これが3つ目のシナリオです。
今後の展開は、日本の大都市圏でのコロナ感染拡大が、緊急事態宣言の終了時、8月31日に向けて次第に収束していくことになれば、3分の1押し程度で二番底形成、感染が止まらない場合には今年の最安値を下回る展開となりますが、私は後者の可能性の方が高いのではないかと見ています。
株価の行方を左右する政治の動きを展望すると、菅政権の支持率がこれ以上下がらず、東京五輪後には持ち直して、自民党総裁選で再選、解散総選挙でも自民党はそれほど痛手を被らないというのが第1のシナリオ。
一方、今後さらに感染が拡大すれば、菅政権の政策のミスによるものだという声が強まり、政権交代を望む声が増えます。この場合、菅首相が自民党総裁選の出馬を断念して、実質的に後継者を指名することも考えられます。
しかしこの時に、自民党の主流派が認める人選ならばいいのですが、そうではない可能性が高いので、分裂や、政権闘争が起きる可能性も視野に入れる必要があります。これが第2のシナリオとなります。
第3のシナリオは、さらに流動的で東京都知事の小池百合子氏による新党、あるいは元大阪府知事の橋下徹氏による新党といった保守新党が登場し、選挙でそれなりの票を集めて、連立政権含みになるという展開です。
今の株安は単にコロナ感染拡大によるものだけでなく、政権交代、政界再編を望む株安だと言っていいかもしれません。ですから今後は、どんな展開であっても少なくとも政局になると見ています。個人投資家は足元では現金比率を高め、次の上昇相場に備える時期だと言えます。
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