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日本証券業協会・森田敏夫会長「コロナ危機下でのキーワードは『加速』」

財界オンライン / 2021年8月11日 7時0分

森田敏夫・日本証券業協会会長

「今回のコロナ禍で、キーワードを1つ挙げるとしたら『加速』ではないか」と話す。

 例えばeコマース。米国の統計では、コロナ前には四半期ベースで3~4%の成長だったが、コロナ後には30%以上の伸びを記録している。

「我々も取り組むべき課題であるESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)、さらにはカーボンニュートラルも、コロナ以前からトレンドとしてあったが、一気に加速した」

 森田氏は、この傾向は一時揺り戻しはあっても大きくは変わらないのではないかと見る。

「株式市場で成長株的銘柄が買われたのも、そこに『加速』があったから」。コロナ禍による株の下落と、その後の上昇を受けて証券会社、特にインターネット証券会社が口座数を一気に伸ばしたのも同じ要因と言える。

「コロナは大変な問題だが、企業マインドは変わってきている。日本企業にとって、変革のチャンスにすべき時」

 また、デジタル化の進展で、証券を含む金融業界にはプラットフォーマーなど異業種が参入する時代になっている。このことをどう受け止めているのか?

「いろいろな人が参入することは正しい。それによって『貯蓄から資産形成へ』の流れが進んでいくことは、我々にとってありがたいこと。ただし、証券業界では投資家保護が大事。きちんとした運営を図っていただくことは大前提」

 その意味で顧客のニーズは時代に合わせて変化、細分化している。それを捉えて、証券会社から独立して、顧客ニーズに合わせた資産運用アドバイスを目指すIFA(金融商品仲介業者)に転じる人も増えている。

 「IFAは転勤がなく、1人の顧客に長く寄り添える。一方、対面証券は幅広いニーズに応えるインフラを持つなど、それぞれの良さがある。大事なのは顧客に付加価値を提供できるか」

 これまで森田氏は野村証券で営業部門CEO、社長として営業改革を主導してきた。今後は時代の変化に合わせた業界の変革に臨む。

【関連記事】東京証券取引所・山道裕己社長「世界から選ばれる市場になるために、システム障害の再発防止、市場区分改革の実効を上げていく」

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