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「サステイナブルな資本主義」に向けて動き出した【十倉経団連】

財界オンライン / 2021年8月20日 18時0分

十倉雅和・日本経済団体連合会会長

感動を届けた五輪

「努力が結実する、紙一重で報われずに流す涙、個々の具体例がわれわれの心を打ってきます」

 日本経済団体連合会会長の十倉雅和氏は、コロナ禍という困難な中、オリンピック・パラリンピック開催にこぎつけた関係者に敬意を表し、こう五輪の感想を語る。

 また、五輪は「多様性、ダイバーシティ、オールインクルーシブな世界を体現している。国同士の連携、団結を見ることもできる。難民選手団も五輪を通じて自分たちが頑張っていることを世界に伝えることができる。開催した意義はあると思っています」と五輪開催を評価する。

 就任以来、「サステイナブル(持続可能)な資本主義」を訴えてきた十倉氏。

 その背景にあるのは、資本主義・自由経済は「競争によってイノベーションを生む素晴らしい制度」としながらも、「市場の原理ですべては解決できない」と考えているからだ。

 その代表例が「格差の拡大」と「生態系の崩壊」。

 こうした問題を解決できないのは、経済学が「人間を『経済合理性を追求するもの』と一様に見ていることにある」と指摘。人間は多様であり、神の見えざる手で調整できるものではなく、格差の拡大は、行き過ぎた資本主義・市場原理主義により「配分や分配が疎かになった」結果だと考える。

 だからこそ、「サステイナブルな社会、サステイナブルな地球、サステイナブルな資本主義・市場経済を構築しなければいけない」と十倉氏は訴える。

 こうした世界が抱える問題で、日本が果たすべき役割は大きいといえる。日本には「企業は社会の一員という考えが根付いている」からだ。

 出身母体の住友グループにも「住友自身を利するとともに、国家を利し、かつ社会を利するものでなければならない」という「自利利他公私一如」という考えがある。

 激しさを増す、米中問題についても互いに「譲れない価値観」の部分で組んでいくべきと「競争と協調」の重要性を説く。

「次の世代に良い地球環境、良い社会を残す義務がある」──。

 世界の課題を日本ならではの力で克服しようという十倉氏の思いである。


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