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中外製薬のコロナ治療薬が軽・中等度向けで初の承認

財界オンライン / 2021年8月22日 18時0分

奥田修・中外製薬社長

新型コロナウイルスとして国内4つ目となる治療薬「抗体カクテル療法」が登場した。中外製薬(奥田修社長)が厚生労働省から承認を取得、「カシリビマブ」と「イムデビマブ」という2つの抗体を合わせて点滴する。持病を抱えるなど重症化リスクがある軽度~中等度の患者が対象だ。

 国内で承認されている新型コロナ治療薬には、「レムデシビル」「デキサメタゾン」「バリシチニブ」の3剤がある。ただいずれも重症者向けで、軽・中等度に認められたのは今回が初めて。デルタ株(インド型)などの変異ウイルスにも効果があるとされ、臨床試験では入院や死亡のリスクが7割減少したという。

 ただ、これが緊急事態宣言下の社会生活や医療現場のひっ迫をどこまで改善するかは未知数だ。厚労省は投与を入院患者に限るとした通知を出し、ホテルや自宅での療養者を対象から除外。入院していても無症状だったりすると使えない。製造量に限界があるためで、範囲を広げると病院に安定的に供給することができなくなるからだ。

 費用負担の面からも課題は残る。カクテル療法に用いる2つの薬剤は製造コストが高いモノクローナル抗体であり薬価も高額だ。国は対象患者を一定程度絞りこまなければならず、患者側から見ると、投与を望んでも叶えられる保証はない。

 つまり、軽・中等度患者にあまねく行きわたるかどうかは微妙だ。このカクテル療法はウイルスに感染して7日以内に投与される。症状が重篤化するのは8日目以降が多いからだが、患者に投与すべきか否かの医師の判断やタイミングも難しそうだ。デルタ株への効果が確認されているとはいえ課題も抱える。

 今回の承認で治療の選択肢が一つ増えたことは確かだが、医薬品業界も一歩一歩前進という状況。緊急事態宣言下の行動規制が緩和される〝特効薬〟とはならないようだ。

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