混乱続く『東芝』 年内に新たな取締役会議長を選任へ
財界オンライン / 2021年8月24日 7時0分
「全てのステークホルダーのため、安定した経営環境を維持していく」と語るのは、東芝社長の綱川智氏。
混乱が続く東芝。綱川氏は年内にも臨時株主総会を開催し、現在、綱川氏が暫定的につとめている取締役会議長など、新たな取締役人事を選任する方針であることが明らかになった。
東芝は今年6月の株主総会で、当時、取締役会議長をつとめていた永山治氏(中外製薬名誉会長)ら、2人の社外取締役の再任が否決される異例の事態となっていた。東芝ではすでに6月の総会で選任されたばかりの社外取締役1人が辞任しており、これから3人程度の取締役を選び、新たな体制で東芝再生に臨むものとみられる。
現在、東芝の指名委員会には、ゴールドマンサックス出身のレイモンド・ゼイジ氏、報酬委員会にはアーンスト・アンド・ヤング出身のジェリー・ブラック氏、戦略委員会にはKPMG出身のポール・ブロフ氏が、それぞれ委員長として就任。この3人は「物言う株主(アクティビスト)との協議を経て東芝が受け入れた人選」とされ、今後はアクティビストとのタフな交渉が続くことになりそうだ。
東芝は2017年に上場維持を目的として、債務超過を免れようと6000億円の第三者割当増資を実施。この時、増資の引き受け手となったのは、エフィッシモ・キャピタル・マネジメントなどの海外資本だった。
株主の中には、中長期視点で株式を保有する人もいれば、短期的な売買を繰り返す株主もいる。株主にもいろいろあり、「超高速取引を繰り返しているような株主を相手にしてはいけない」と主張するガバナンス問題に詳しい専門家もいるし、エフィッシモ代理人は「エフィッシモは超高速取引など行っていないし、議決権行使を通じた投資先の企業価値向上について真摯に検討している」とする。経営陣と株主との対話をどう考えるかは、東芝を含めて、あらゆる企業に突き付けられた大きな課題だ。
東芝は10月には新たな中期経営改革を発表する方針。
「東芝の有するコアバリュー、すなわち東芝の存在意義とコアコンピタンスをもう一度再認識することが重要。10月には注力領域を明確にする」と語る綱川氏だが、依然難しい舵取りを迫られていることは間違いない。
東芝問題の教訓 問われる経営者の覚悟
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