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【三井物産】商社首位に浮上も手放しで喜べない理由

財界オンライン / 2021年8月24日 18時0分

堀健一・三井物産社長

三井物産(堀健一社長)が、2022年3月期の連結業績予想を上方修正。最終利益が6400億円(前年同期比90・8%増)となり、商社首位に浮上する見通しとなった。6000億円を超えるのは、商社初のことになる。

 業績の引き上げ要因となったのは、鉄鉱石や銅、原油などの資源価格の上昇。従来予想は4600億円だったが、新たな予想額6400億円のうち、金属資源分野が4200億円を占めるという。新型コロナウイルス感染症からの立ち直りが早かった中国が、世界に先駆けて経済が回復したことが大きい。

また、北米を中心とした自動車事業が好調だったことや、アジアでの病院事業ではコロナ関連サービスが伸びた。

副社長CFO(最高財務責任者)の内田貴和氏は「世界経済は中国と米国を中心に持ち直しの動きが継続。足元の堅調な商品市況を反映し、通期業績予想を上方修正する」と語る。

 新型コロナからの経済回復や資源高を背景に、大手商社7社の第1四半期(21年4―6月期)の連結業績は最終利益ベースで各社とも大幅増益となった。ただ、通期業績見通しは、伊藤忠商事5500億円(同37%増)、三菱商事3800億円(同120・2%増)と、従来予想を変えていない。

 それは資源高がいつまで続くのか? という懸念が各社に根強いから。三井物産も「アジアではコロナが再拡大しており、鉄鉱石価格は年末、年度末に向けて、緩やかにノーマライズしていくと考えている」(内田氏)として、今後については慎重な見通しだ。

 中国の景気減速や資源価格の急落により、三井物産や三菱商事が最終赤字に陥ったのが16年3月期。そこから5年、各社は市況に左右されにくい非資源ビジネスを育成し、資源ビジネスに過度に依存しないビジネスモデルの構築を進めてきた。

 利益に占める資源ビジネスの割合が6割以上と、他商社に比べて、資源ビジネスへの依存度が高い三井物産。資源で稼いだ利益を取り込みながら、いかに非資源ビジネスを育成していくかは引き続きの課題である。

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