【財務省】コロナ感染拡大が続く中、追加経済対策は不可避
財界オンライン / 2021年8月29日 18時0分
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、政府内には大規模な追加経済対策の編成は不可避との見方が強まっている。
日本人選手の活躍が目立った東京五輪が閉幕したが政権浮揚にはつながらず、秋に行われる衆院選に向けた好材料に乏しい。今年度に入ってからは追加対策が打ち出されていないこともあり、政府が衆院選前に補正予算案の編成を指示するのは確実な情勢で、対策の規模が焦点になりそうだ。
麻生太郎財務相は8月10日の閣議後会見で、経済対策に関し「今、編成を検討しているわけではない」と歳出圧力をけん制した。「第3次補正予算や予備費など支援策を着実に活用していく」とも語った。
すでに政府・与党内では経済対策は「最低30兆円規模が必要」(自民党重鎮)との声が出ている。ただ、コロナ対策として政府はすでに2020年度に3度の補正予算を組み計70兆円超を支出。一方、20年度の一般会計のうち30兆円が年度内に使い切れずに21年度に繰り越された。それでもなお、衆院選に向けて大規模な財政出動を掲げて局面打開を狙う与党の声に対し、財務省は「大規模にしたくてもメニューがない」(主計局)と冷ややかだ。
自民党内では生活困窮者世帯への支援策として、住民税非課税世帯への1人当たり10万円給付も取りざたされている。だが、国民のワクチン接種が広がり、重症化リスクが着実に低減しつつある現状を踏まえれば、低所得者への支援は景気対策というより「バラマキ」(同)の様相が強まる。
麻生氏はコロナ禍でも財政再建の旗を降ろしていないが、なし崩し的な歳出拡大が続く流れを止める”出口戦略”を示す時期は見通せない。霞が関では「首相官邸は財務官僚で固めていながら相変わらずの大判振る舞い」(経済官庁幹部)といわれ、12年12月以来財務相を務める麻生氏の手腕が問われそうだ。
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