【株価はどう動く?】8月末が相場の転機に?新興成長株の上昇時期に注目
財界オンライン / 2021年8月27日 11時30分
ボックス相場を上に行くか、下に行くか
日経平均株価は2021年2月16日に3万714円、3月18日に3万485円という二番天井を付けて、その後下は2万8000円割れ、上は3万円手前というゾーンで6カ月揉み合ってきました。その意味で目先、株価は底入れしてもおかしくない日柄です。
7月30日には2万7272円という今年の最安値を付けました。緊急事態宣言が出されている間は株価の上値は重いですが、日柄、時間のサイクルから見て、8月いっぱいで株価の調整局面が終わるかもしれません。ですからここで、これまで続いてきたボックス相場に決着が付き、上に行くか、下に行くかがはっきりするのではないかと見ています。
私は早ければ9月早々、遅くとも日柄から見て9月末には株価が上昇してくると見ます。確かに8月上旬現在、日本の株価に上昇の材料はありません。むしろ、コロナ感染拡大で株価がさらに下げてもおかしくない状況ですが、下値支持線の2万8000円割れ近辺で持ちこたえています。
これはなぜか。それはニューヨークの株価が引き続き強いからです。この後、再び新高値を更新しそうな状況です。これは引き続き、「バイデン砲相場」が続いているからです。
総額6兆㌦、日本円で600兆円余りの景気対策を打ち出しており、これが順次実行されれば、株価が下がることはないでしょう。しかも、バイデン大統領がワクチン接種の促進に向け接種した人に100㌦を支給する方針を示すなど、一種の「ヘリコプターマネー」を実施している状況です。
以前から指摘しているように、米国発のマネーバブル相場が続いています。これはマネーをバラまく限りは続くわけですが、当然ながらバラまけなくなった時には終わります。バイデン大統領に打ち手がなくなったり、FRB(米連邦準備制度理事会)金融引き締めをしたり、米財務省が財政出動を渋ったりすると終わるわけです。
しかし、今のところ米国株はマネーバブル相場の波に乗って、まだ上昇しそうです。この調子で「バイデン砲」を撃ち続ける限り、年末年始にはさらに新高値を更新するかもしれませんが、その時はピーク(天井)近しとなる可能性があります。
米国の株高が、日本の株価の下支えになっており、上がりもしませんが、あまり下がらないのです。このモタモタした日本株の転機は、8月いっぱいで緊急事態宣言が解除されれば訪れます。なぜなら、緊急事態宣言が解除されるということは、ある程度感染が収まっているからです(9月12日まで延長)。
仮に緊急事態宣言が延長されれば、株価はモタモタどころか、さらに下落するでしょう。いずれにせよ、8月末は相場の転機となります。
解散総選挙は株価にプラス?
7月から8月にかけての感染拡大の1つの要因は東京五輪です。大きなイベントが開催されていることに誘発されて街に人が流れて、20代、30代を中心に感染が広がりました。しかし9月5日にはパラリンピックが終わりますから、東京五輪が終われば株価上昇の展開が予想されます。
それ以降の注目は、これも以前から指摘しているように解散総選挙など政局に移ります。この総選挙で日本の政治がどう変わるか。菅義偉首相が自民党総裁に再選され、続投するのか。それとも他の人になるかはわかりませんが、いずれにせよ内閣改造を含め、政権は新しい顔ぶれでスタートします。
その新政権が、菅政権が推進してきたデジタル革命、グリーン革命を推進する政策を打ち出すかどうか。そしてコロナ禍で、米国ほどではなくとも強烈な景気対策、金融緩和を打ち出すことができるかが問われます。
景気対策、金融緩和に関して、日本は米国に比べて完全に腰が引けています。景気対策の規模は小さく、金融政策を担う日本銀行は緩和姿勢を取りながらも、実質的には実行していません。量的緩和を縮小しています。物価目標2%も実現していない日銀総裁の黒田東彦氏の責任は重いものがあると思います。
相場の転機を経て、9月には株価上昇の可能性がありますが、これは解散総選挙という秋の政局とも絡んできます。政治の動きが株価にとっての好材料であれば急騰する可能性があります。
政局の動きは流動的ではありますが、解散総選挙が行われれば、勝ち方はどうあれ、自民党・与党が勝つでしょう。立憲民主党など野党が票を集めることは考えづらいというのが現状です。
総選挙前に感染拡大が、ある程度収束していれば自民党が有利になります。拡大していれば批判票で自民党は議席を減らす可能性が高いわけですが、その分の票を誰が取るかというと、日本維新の会や、無所属の保守系議員だと見ます。どちらにしても秋は政局、政治動向が株価を動かします。
解散総選挙で自民党が善戦、菅首相の再選となれば、株価は年末高が予想されます。昨年は2月、3月のコロナショックの後、東証マザーズ銘柄を中心とするバイオ、デジタルの関連株が大幅高となりました。そのため、マザーズ指数は昨年10月に天井を付け、その後バイオ、デジタルを中心とした新興成長株は下落トレンドが続いてきたのです。
昨年10月を天井に、今年9月まで調整が続けば、ひと相場があった後には数カ月から約1年休むとされていますから、ちょうどいい日柄となります。
ですから、次の上昇相場では新興成長株が上がってくる可能性が高い。8月現在、ほぼ底値圏にあります。緊急事態宣言が解除されるかどうかなどタイミングを見極める必要がありますが、今後どんな成長株を買うべきか、次の上昇相場に備える時です。
引き続き、バイオ、デジタル、グリーンに注目ですが、個別物色相場なら、最も売られたバイオ関連株が面白いのではないかと見ています。
【関連記事】【株価はどう動く?】政局の不安定化が株安の要因に 先行きを占う3つのシナリオ
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