過去最高の四半期決算を達成 慎重姿勢を崩さない『トヨタ』
財界オンライン / 2021年9月2日 18時0分
「この営業利益を達成しても上方修正はしなかった。トヨタ自動車は保守的と言われるが、今後の先行き不透明感がぬぐえていないという証拠だろう」とアナリストは指摘する。
トヨタの2021年4―6月期の営業利益は9974億円を達成。最初の緊急事態宣言が発令されるなど、コロナで萎んだ前年同期に比べると約72倍という水準だ。純利益も約5・7倍となる8978億円だった。
急回復の原動力となったのが米国だ。生産面では半導体不足の影響によってグループで約10万台の減産となったものの、東日本大震災を教訓に構築した約40万点の部品調達の「見える化」をテコに、部品メーカーにきめ細かな生産計画を提示して部品の供給体制を維持した。
販売面では米国は「店頭に来た客がその日に在庫を買う」(大手メーカー幹部)ことが一般的。そこでトヨタは工場出荷前や輸送中の車両に関する到着情報を各店舗と共有し、「店舗間で融通することで希望するクルマをより早く届ける工夫を進めた」。
販売単価も上昇している。一時、ガソリン安でセダン系のクルマが売れなかった時期があったが、今では「RAV4」「ハリアー」などSUV(多目的スポーツ車)の新型を投入。値引きの原資となる販売奨励金も減った。その結果、本4半期の1台当たり純利益は単純計算で32万6千円。21年3月期の22万6千円より10万円上昇した。
それでも通期の最終利益予想2兆3000億円を据え置いたのは「予断を許さない状況が続く」(同社)からだ。東南アジアでの部品供給が滞って生産拠点の停止や減産は続いており、需要を取り逃がすことにもつながる。また、鉄や銅などの原材料の高騰も利益を圧迫する要因だ。加えて電動化への投資も控える。
足元の販売と将来の投資を両立させるトヨタの慎重姿勢と言えそうだ。
世界的な半導体不足が続く中『東京エレクトロン』が最高益に
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